第Ⅲ部 独身者・夫婦調査共通項目の結果概要:第3章 結婚・家族に関する意識
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Ⅲ-3.結婚・家族に関する意識
1.結婚・家族に関する未婚者の意識
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」への支持は未婚男女ともに3 割前後
結婚、家族、男女関係などについての未婚者の考え方をみると、今回の調査において、未婚男
性と未婚女性の双方の8 割に支持されている意見は、「③婚前交渉かまわない」、「④女/男らし
さ必要」、「⑤自己目標持つべき」の3 項目、7 割に支持されているのは「②同棲なら結婚」、「⑨
母親は家に」の2 項目である。また、「⑬産むなら20代のうち」の支持割合は、女性では8 割台、
男性では7 割台である。
一方、男女の支持割合が3 割台であるのは「⑪結婚せず子よい」、3 割前後であるのは「⑦夫は
仕事、妻は家」である。
女性よりも男性で支持が多い項目は、「⑥結婚に犠牲当然」(12%ポイント差)、「⑩離婚避ける
べき」(9%ポイント差)、「⑧子ども持つべき」(8%ポイント差)、「①生涯独身よくない」(7%ポ
イント差)、「⑫男性は家族優先」(6%ポイント差)である。
図表Ⅲ-3-1 結婚・家族に関する未婚者の意識:第15回調査(2015年)
未婚者では2000年代以降、「母親は家に」に不支持、「結婚に犠牲当然」に支持の流れ
未婚者の結婚・家族に関する意識について、第10回調査(1992年)からの変化をみると、男
性では、「⑥結婚に犠牲当然」への賛成割合(伝統的な考えを支持する回答)が継続的に増加し、
「⑦夫は仕事、妻は家」と「⑨母親は家に」の賛成割合(いずれも伝統的な考えを支持する回答)
は継続的に減少している。また、第11回調査(1997年)以降に限定すると、「①生涯独身よくな
い」と「②同棲なら結婚」で賛成割合(伝統的な考えを支持する回答)の増加が続いている。
女性では第10回調査(1992年)から継続して同方向に変化している項目はないが、「⑧子ども
持つべき」と「⑨母親は家に」の賛成割合(伝統的な考えを支持する回答)が、おおむね減少傾
向にある。また、第11回調査(1997年)以降に限定すると、「①生涯独身よくない」、「②同棲な
ら結婚」、「⑥結婚に犠牲当然」の賛成割合(伝統的な考えを支持する回答)が増加傾向にある。
図表Ⅲ-3-2 調査別にみた、結婚・家族に関する未婚者の意識(伝統的な考えを支持する割合)
2.結婚・家族に関する妻の意識
「婚前交渉はかまわない」、「女らしさ男らしさは必要」、「結婚しても自分の目標を」、「最初の子どもを産むなら20代で」に対しては妻から高い支持
結婚・家族に関する妻の意識をみると、8 割以上の妻が、「③婚前交渉かまわない」「④女/ 男
らしさ必要」、「⑤自己目標持つべき」、「⑬産むなら20代のうち」という意見を支持している。
また、「②同棲なら結婚」、「⑧子ども持つべき」、「⑨母親は家に」、「⑫男は仕事より家族」は6
割台、「①生涯独身よくない」、「⑩離婚避けるべき」は5 割台の支持を得ている。支持が半数に
満たないのは「⑥結婚に犠牲当然」(4 割台)、「⑪結婚せず子よい」(3 割台)、「⑦夫は仕事、妻
は家」(2 割台)である。
図表Ⅲ-3-3 結婚・家族に関する妻の意識:第15回調査(2015年)
妻の「子どもは持つべき」、「母親は家に」への支持と「結婚後も自己目標持つ」、
「婚前交渉はかまわない」への不支持は1990年代から継続して減少
結婚や家族に関する妻の考え方について第10回調査(1992年)からの変化をみると、1990年
代にはどの項目においても伝統的な考え方から離れていく傾向がみられたが、2000年代に入る
と項目によって変化の傾向に違いが生じている。
同方向の変化が継続している項目は、「③婚前交渉かまわない」、「⑤自己目標持つべき」、「⑧
子どもは持つべき」、「⑨母親は家に」の4 項目で、いずれも伝統的な考えの支持割合が減少する
方向に変化している。
一方、「⑥結婚に犠牲当然」は、1992年から1997年の減少を除けば、賛成割合が増加してい
る。「⑩離婚避けるべき」は、1992年から1997年にかけて賛成割合が低下した以降は、ほぼ横ば
いである。その他の項目での経年変化の傾向は明確でない。
図表Ⅲ-3-4 調査別にみた、結婚・家族に関する妻の意識:第15回調査(2015年)(伝統的な考えを支持する割合)
妻が伝統的な考えを持つ夫婦では、理想および予定子ども数が多い傾向
結婚持続期間0~4年の夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数を、妻が結婚・家族に関
して伝統的な考えを支持するか否かによって比較した。多くの項目で、伝統的な考えを支持する
妻(棒グラフ左)の方が、支持しない妻に比べ、平均理想子ども数、平均予定子ども数ともに高
い。特に「⑧子ども持つべき」、「⑩離婚避けるべき」、「⑬産むなら20代のうち」に賛成する妻
の平均理想子ども数と平均予定子ども数は多い傾向にある。
一方、「④女/ 男らしさ必要」に賛成する妻や、「⑫男は仕事より家族」に反対する妻(ともに
伝統的な考えを支持する層)では、伝統的な考えを支持しない層よりも平均理想子ども数、平均
予定子ども数のいずれもが低いなど、妻の伝統的考えと出生意欲との関係にはゆらぎもみられる。
図表Ⅲ-3-5 妻の結婚・家族に関する意識(伝統的な考えを支持するか否か)別にみた、理想・予定子ども数:
第15回調査(2015年)(結婚持続期間0~4年の妻)
3.結婚・家族に関する意識:未婚女性と有配偶女性(夫婦の妻)の比較
結婚することや子どもを持つことについては、有配偶女性よりも、未婚女性の方が伝統的な考えを支持する傾向
未婚女性と有配偶女性(夫婦の妻)(いずれも18~34歳)の結婚や家族に関する考え方を比
較すると、「①生涯独身よくない」、「②同棲なら結婚」、「⑧子ども持つべき」、「⑨母親は家に」、
「⑪離婚避けるべき」という考え方を支持する割合は、有配偶女性よりも未婚女性の方が高い。
また、「③婚前交渉かまわない」と「⑬男は仕事より家族」に反対する割合も、未婚女性の方が
有配偶女性よりも高い。結婚することや子どもを持つことについては、総じて、未婚女性のほう
が伝統的な考えを支持する傾向が強い。特に、「⑨母親は家に」に賛成、「③婚前交渉かまわな
い」に反対といった伝統的な考えを支持する割合は、それぞれ13%ポイント、9%ポイント、未
婚女性が有配偶女性を上回る。この他の項目でも、伝統的な考えを支持する割合は未婚女性の方
が3%ポイント以上高い。
一方、「⑥結婚に犠牲当然」と「⑬産むなら20代のうち」については、未婚女性の賛成割合が、
有配偶女性をそれぞれ7%ポイントと3%ポイント上回る。結婚後のあり方や出産に適した年齢
については、有配偶女性の方が伝統的な考えを支持している。
図表Ⅲ-3-6 配偶関係別にみた、結婚・家族に関する意識:第15回調査(2015年)(18~34歳の未婚女性と有配偶女性)
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