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国立社会保障・人口問題研究所

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研究所の紹介

ごあいさつ

 令和6年4月に所長に着任いたしました。ご挨拶申し上げます。

 新型コロナウィルス感染症は我々の生活を大きく変えました。すでに日常生活を取り戻しているところではありますが、その影響はまだ続いています。出生率はいまだ低水準で、コロナ最初の年には減少した死亡数はその後反転し、コロナ前水準の日本が世界に誇っていた超長寿社会が戻ってくるのか不透明な状況です。コロナ禍で膨張した社会保障支出を今後どのように正常化していくのかも大きな課題となっています。

 一方世界に目を転じれば、出生率の低下と人口高齢化、高齢者数の増加はアジアを含めた世界全域に広がり、コロナで停滞した国際移動も再び活発化の一途にあります。それらに対し、必ずしも万全の社会保障政策がとられているとはいいがたい状態です。ロシアによるウクライナ侵攻、ガザとイスラエルの戦争といった第三次世界大戦に繋がりかねない状況や、コロナにも起因する経済危機、社会の分断が起こっている中、地球規模の環境変動や災害が人々の生活に多大な影響を及ぼしています。

 国立社会保障・人口問題研究所(略称: 社人研)は、このような国内外の状況を踏まえ、人口・社会保障に関するエビデンスを正しく収集・把握し、その分析を通して、人々の生活を支える政策形成に資する基盤を提供することを目的としています。1939年に設立された厚生省人口問題研究所、1965年に設置された社会保障研究所が1996年に統合され現在に至っています。時代と共に人口問題は変遷し、それに応じて社会保障制度・政策も変革します。令和時代の現在、少子化と人口減少が進む中、子どもを作り育てる環境をどう整備するか、地域で異なる人口や世帯の変化にどう対応するか、困難を抱えた人々をどう支えるか、高齢者が元気で活躍できるにはどうしたらよいかといった課題に対し、研究を続けています。

 流動する国際情勢のもと、外国に閉鎖的と言われていた日本も大きく変わってきています。在留外国人数は令和5年6月には史上最高の322万人を数え、社会統合のための施策も進められています。外国人の受入れは、人口減少を補充する、という事よりも、社会を活性化させていくために重要です。このような中、社人研ではこの4月から、国際人口移動に関する研究を進めるため新たな室を設置し、研究を深めていくことになりました。

 ジェンダーギャップ指数が世界で最低のグループに属する、と言われる日本ですが、そのような中、社人研は初めて女性が所長を務めることになりました。「ジェンダー」と語ることすら憚られていた状況を変えていかねばなりません。

 「生産年齢人口」という15〜64歳等の年齢で区切られた人口だけを見れば、日本のそれは大きく減少していますが、実際に働いている人の数は近年増加しています。それは、女性、高齢者、外国人の増加によるものです。少子高齢化・人口減少という課題がなければ、このような社会変革は成し遂げられなかったかもしれません。課題を直視し、一つ一つ対応していくこと、過度に悲観せずに未来を見据えることが重要です。社会保障・人口問題に関する様々な課題は、分野横断的に解決策をみつけなければなりません。我々の研究成果を広く発信するために、社人研ホームぺージのリニューアルも進めているところですが、皆様からの声を大切にし、社会に開かれた研究を進めていく所存です。ご支援、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

2024年4月
所長 林 玲子
所長 林 玲子