ページ内を移動するためのリンクです。
(合わせて、2020年度までのプロジェクト「性的指向と性自認の人口学―日本における研究基盤の構築」もご覧ください。)
◆2023年10月27日に「家族と性と多様性にかんする全国アンケート」(2023年2-3月実施)の結果概要を公表しました。
□法政大学によるプレスリリースは、こちらからアクセス可能です。
□「家族と性と多様性にかんする全国アンケート」の結果概要はここからダウンロードできます。(2024年2月21日改訂版--図表19、20のnおよび全体の誤植修正済)
□本調査の詳細については、こちらをご覧ください。
□2023年1月31日付で本調査の実施についてのプレスリリースを行いました。
◆最近の研究活動の紹介
○2021年10月から2022年1月にかけて実施した高年齢層への認知インタビューの結果を、国立社会保障・人口問題研究所のワーキングペーパーとしてまとめました。
平森大規・小山泰代・釜野さおり・千年よしみ・布施香奈・三部倫子・岩本健良・武内今日子・申知燕, 2023
「高年齢層の性的指向・性自認のあり方を量的調査でいかに捉えるか―認知インタビューの分析結果から―」IPSS Working Paper Series No.68
○第64回日本母性衛生学会総会・学術集会(2023年10月13日 大阪国際会議場)で報告しました。
「生殖補助医療等の経験者・関心層の量的分析-性別、性的指向、婚姻状況等による比較-」(藤井ひろみ・布施香奈・釜野さおり)
○平森大規・釜野さおり・小山泰代, 2023「性的指向と性自認のあり方(SOGI)と家族研究:量的調査を通じた試み」『家族研究年報』48:5-25が出版されました。(2022年7月に行われた家族問題研究学会のシンポジウム報告のまとめです。)
○釜野さおり・岩本健良「性的指向と性自認のあり方の人口学的研究:SOGIと人口学的属性」小島宏・和田光平編『セクシュアリティの人口学』(人口学ライブラリー22,原書房)が2022年11月25日に出版されました。
○日本ドイツ研究所にて2022年11月5日に開催されたワークショップThe Intimate in and beyond Pandemic Times: Family, Personal Relationships and Singlehoodで報告しました。
・Do Same-gender Couples Share Housework More Equally than Different-gender Couples in Japan? Preliminary Analysis of Quantitative Data (Saori KAMANO, with Diana KHOR & Yusuke KAMIYA)
○第32回日本家族社会学会大会(2022年9月3日 日本女子大学)で3つの報告を行いました。
・「Xジェンダー当事者の親子関係とパートナー関係」(武内今日子)(テーマセッション:質的データからみる性的マイノリティと家族の現在―研究の困難・研究と困難)
・「量的調査における性的マイノリティの諸課題」(平森大規)(テーマセッション:量的データからみる性的マイノリティと家族の現在―研究の困難・研究と困難
・「同性カップルの関係性の計量分析―法律婚・事実婚との比較から」(釜野さおり・神谷悠介・コーダイアナ)(テーマセッション:量的データからみる性的マイノリティと家族の現在―研究の困難・研究と困難)
○家族問題研究学会シンポジウム「性的マイノリティと家族研究 Part 1: 性的指向と性自認のあり方(SOGI)と家族研究:量的調査を通じた試み」で以下の報告を行いました。
1.その他(具体的に__):量的調査におけるSOGIの測定法に関する方法論的研究(平森大規)
2.量的調査で同性カップルを特定する試み: 無作為抽出調査を例として(釜野さおり)
3.SOGIと家族環境との関連:無作為抽出調査による分析の一例として(小山泰代)
○第74回日本人口学会(2022年6月11日神戸大学)の企画セッション「セクシュアリティ人口学の現在とこれから」で、本プロジェクトのメンバーが合計11の報告を行いました。
「『セクシュアリティの人口学』から、SOGI と社会的属性」(釜野さおり・岩本健良)[報告資料]
「アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性」(平森大規)[報告資料]
「Xジェンダー当事者の家族形成」(武内今日子)[報告資料]
「生殖医療ガイドラインを適用しづらい挙児希望者の “ART” 活用法の類型」(布施香奈・藤井ひろみ)[報告資料]
「医療機関における家族とSOGI」(三部倫子)[報告資料]
「SOGIと社会階層」(平森大規)[報告資料]
「SOGIと国際移住」(申知燕)[報告資料]
「大阪市における性的マイノリティの空間分布」(山内昌和)[報告資料]
「同性カップルと国勢調査」(釜野さおり)[報告資料]
「SOGI 設問に対する郵送・ウェブ回答の項目無回答率・回答分布の比較」(千年よしみ)[報告資料]
「社会調査における高年齢層の SOGI の捉え方」(小山泰代)[報告資料]
◆本プロジェクトについて
「性的指向と性自認の人口学の構築―全国無作為抽出調査の実施」 (文部科学省所轄日本学術振興会 科学研究費助成事業(一般・基盤研究A) 課題番号21H04407(2021年度~)
日本全体に一般化できるデータに基づき、経済状況・健康状態、出生や移動などの人口学的行動や意識を含む人びとの生活全般が、性的マイノリティ当事者と非当事者との間でどのように異なるのかを解明することが急務であるとの認識に基づき、本研究では、一般人口を対象に無作為抽出による全国調査を実施し、性的指向と性自認のあり方(SOGI)が人びとの生活にどのような影響を及ぼすかを定量的に示すことを目指す。その過程で調査票調査によってSOGIをとらえる方法と設問を精緻化させ、SOGI設問のスタンダードとなるガイドラインを確立する。SOGIのテーマで多用されているモニタ型ウェブ調査については、本プロジェクトの予算内では実施が不可能であるが、別途なんらかの形で実施することができれば、その結果と全国無作為抽出調査の結果を比較して各調査の特徴を明確にし、今後の研究のベンチマークとなる資料を提供する。
全国無作為抽出調査を実施して、そのデータを人口学的、社会学的、地理学的な視点から分析・考察し、個人のSOGIによって生活実態やウェルビーイングが異なるのかを比較するために、以下の手順で研究を進める。 1 SOGIを含む量的研究に関する最新の研究動向の整理 2 全国SOGI調査の準備(①設問の試験的調査 ②調査票の確定) 3 全国SOGI調査の実施(住民基本台帳を用いた無作為抽出による調査) 4 全国SOGI調査のデータ分析 5 結果の考察、成果公表、調査ガイドラインの提示 令和4年度は上記2と3を進める。調査の準備段階では、同性カップルや他のカップルタイプ、多様な家族形成を適切にとらえる設問候補について、広く意見を聴取し、調査票を確定させる。個人のSOGIをたずねる設問については、昨年度実施した高年齢層の人々を対象とした認知インタビューの結果をまとめ、公表する。 加えて、全国調査で用いる調査項目検討の参考となり、かつ人口学的な課題として取り組む必要性があることから、国勢調査の個票や、その他の世帯構成をたずねる問いを含む調査の二次利用申請を行い、非典型的な世帯についての基礎集計を行う準備を進める。また、本研究チームが、2019年に前プロジェクト(JSPS科研費16H03709「性的指向と性自認の人口学―日本における研究基盤の構築」)で実施した大阪市民調査の調査設計をベースに2020年秋に実施された「埼玉県多様性を尊重する共生社会づくりに関する調査」についても個票データの利用可能性を探る。
令和4年度に実施予定の全国調査の準備の一環として、60代と70代の人を対象に、SOGIをたずねる項目についての認知インタビューを実施した。無作為抽出による調査票調査を想定し、性自認のあり方、性的指向のアイデンティティおよび恋愛的惹かれ、性的惹かれ、性関係の相手の性別の3側面をたずねる質問を含めた調査票に回答してもらった上で、各問や調査票全体に対し、どのような印象をもつのか、問いをどのように理解し、何を考えてどの選択肢を選ぶのか、実際の調査でそれぞれの問いがあったとしたら抵抗感をもつと思うか、といったことを18名の協力者(男女同数、性的マイノリティを自認している人を若干名含む)から詳細に聞き取った。今後はその結果を取りまとめ、適宜発表していく予定である。その他には、JSPS科研費16H03709で実施した大阪市民調査のデータを用いた分析や。性的指向と性自認のあり方にかんする研究全般を進め、論文および口頭で発表した。
研究代表者:釜野さおり(人口動向研究部第2室長)
研究分担者:千年よしみ(国際関係部第1室長),布施香奈(情報調査分析部第3室長),小山泰代(人口構造研究部第3室長),石田仁(明治学院大学社会学部付属研究所研究員),岩本健良(金沢大学人間科学系准教授), 三部倫子(奈良女子大学研究院人文科学系准教授),申知燕(昭和女子大学人間社会学部講師),平森大規(法政大学グローバル教養学部助教),藤井ひろみ(大手前大学国際看護学部教授),山内昌和(早稲田大学教育・総合科学学術院准教授)
研究協力者:神谷悠介(中央大学客員研究員), KHOR, Y.T. Diana(法政大学グローバル教養学部教授),武内今日子(東京大学大学院院生), 吉仲崇(会社員)
【論文等】
・釜野さおり,2021,「同性カップルのワーク・ファミリー・バランス――欧州3カ国における制度と現実のはざまで」高橋美恵子編著『ワーク・ファミリー・バランス――これからの家族と共働き社会を考える』慶應義塾大学出版会,203-238.
・釜野さおり,2022,「国勢調査と同性カップル世帯――排除と可視化のはざまで」菊地夏野・堀江有里・飯野由里子『クィア・スタディーズをひらく2』晃洋書房,1-34.
・釜野さおり,2022,「若年層の性的マイノリティに対する抵抗感――社会的属性・意識・経験との関連に着目して」林雄亮・石川由香里・加藤秀一編著『若者の性の現在地――青少年の性行動全国調査と複合的アプローチから考える』勁草書房,89-115.
・Khor, Diana, and KAMANO Saori, 2021, "Negotiating Same-sex Partnership in a 'Tolerant' State," Journal of Gender Studies, 30(5): 512-524.
・藤井ひろみ・布施香奈・釜野さおり,2021,「『大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート』からみたシスジェンダーのレズビアン・バイセクシュアル女性における家族形成ニーズ」『母性衛生』62(2):521-531.
・HIRAMORI Daiki, 2022, Sexuality Stratification in Contemporary Japan: A Study in Sociology. PhD dissertation, Department of Sociology, University of Washington.
・三宅大二郎・平森大規,2021,「日本におけるアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムの人口学的多様性――『Aro/Ace調査2020』の分析結果から」『人口問題研究』77(2):206-32.
・三部倫子,2022,「講演会記録 Familiesから考える二人に閉じない関係性――医療現場での対応とその背景」『アジア・ジェンダー文化学研究』奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター,6:33-37.
・FUJII Hiromi, 2021, “Transgender Student Achievement and Their Experience in Nursing Education: A Case Report,” Journal of Otemae University Institute of Global Nursing, 1: 1-9.
・山内昌和,2021,「大阪市における性的マイノリティの空間分布」『人口問題研究』77(2):188-205.
【講演・学会発表等】
・石田仁,2021,「性的マイノリティと共に生きようとしているのは誰か――女性のBL読者/非読者へのWEB調査から(2)」第94回日本社会学会大会,東京都立大学(オンライン開催).(2021.11.13)(「国立社会保障・人口問題研究所年報 令和4年版(2022年版)」より抜粋)