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国立社会保障・人口問題研究所

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超長寿社会における人口・経済・社会のモデリングと総合分析

研究概要

 わが国の平均寿命は20 世紀後半に著しい伸長を遂げ、2021年には男性81.48 年、女性87.58年と、世界有数の長寿国となった。「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によれば、平均寿命は2070年には男性85.89年、女性91.94年(死亡中位仮定)に達すると推計されている。このような驚異的な寿命の進展は人類の大きな達成の一つであり、「長寿革命」と称されることもある。このような世界最長寿国であるわが国の長寿化の要因・影響に関する分析に加え、健康寿命の延伸等、長寿化の進展と健康期間の関係等に関するメカニズムの解明や、さらに得られた研究成果を国内および国際的に発信することは、わが国の人口学研究における重要な課題となってきたところである。

 こうした状況の中、本研究所では「わが国の長寿化の要因と社会・経済に与える影響に関する人口学的研究(平成23~25 年度)」、「長寿化・高齢化の総合的分析及びそれらが社会保障等の経済社会構造に及ぼす人口学的影響に関する研究(平成26~28 年度)」および「長寿革命に係る人口学的観点からの総合的研究(平成29~令和元年度)」において、わが国初の試みである「日本版死亡データベース(Japanese Mortality Database、以下JMD)」の開発を中心としながら、人口学的・学際的分析を進めてきた。本研究プロジェクト(令和2年度~)は、これらの先行プロジェクトの成果をさらに発展させつつ、超長寿社会における人口・経済・社会のモデリングと総合分析を行う。

 本研究プロジェクトは、①死因・死亡過程分析、②健康度と寿命の関連分析、③死亡モデルと公的年金の計量モデル分析、④人口学的死亡モデルの発展、⑤日本版死亡データベース(JMD)・コーホート(世代)別データベース等人口情報基盤の拡充・発信と将来人口推計への応用、⑥学際的・国際的研究ネットワークの構築と成果の発信、の6領域に分けて研究を進める。プロジェクトにより、長寿化・高齢化の進展が社会保障等の社会経済システムに及ぼすインパクトの解明、公的統計(生命表)作成の方法論に関する学術的知見の提供、将来人口推計の精度向上、世界最高水準のわが国の長寿化やその経済社会影響等を分析することによる基礎資料の提供などを行う。また、所内・所外のプロジェクトメンバーに加え、厚生労働省で統計や数理の実務に携わっている方々や民間企業のアクチュアリーなど専門家の方々に外部協力者として参加していただいている。


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