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下記の要領で国立社会保障・人口問題研究所の特別講演会を開催しました。多数のご参加をいただき、ありがとうございました。
日時 : 2025年3月17日(月)10:30 ~ 12:00
場所 : 国立社会保障・人口問題研究所 第4・第5会議室 および オンラインによるハイブリッド開催(日英同時通訳)
講演者: ヒラム・ベルトラン・サンチェス(カリフォルニア大学ロサンゼルス校 教授)
※講演者のプロフィール詳細はこちら
題目 : Deceleration in the rise in life expectancy in low-mortality countries: what lies ahead?
(日本語訳「低死亡率国における平均寿命上昇の鈍化:今後の展望」)
講演の概要(日英同時通訳)
20世紀を通じて、先進国における出生時平均寿命は約30年延びた。これは主に公衆衛生と医学の進歩によるものである。死亡率の低下は当初、幼少期に顕著に見られ、その後、中年期や高齢期にも及んだ。しかし、この傾向とそれに伴う平均寿命の急速な上昇が21世紀にも続くかどうかは不明であった。
本講演では、1990年から2019年までの米国および世界で最も長寿の9か国の人口動態統計データを用いて、死亡率と平均寿命の最近の動向を探る。その結果、1990年以降、平均寿命の改善は全体的に鈍化していることが明らかとなった。また、平均寿命の向上に対する抵抗が増し、寿命の不平等は縮小し、死亡年齢の集中化(モータリティ・コンプレッション)が進行していることも示された。この分析から、100歳まで生存する割合は、女性で最大15%、男性で最大5%にとどまる可能性が高いことが示唆される。つまり、生物学的老化のプロセスが大幅に遅延しない限り、今世紀における人間の寿命の劇的な延長は現実的ではないと考えられる。
※本講演会は、「国民移転勘定(NTA)プロジェクト」の企画により実施されました。