コーホート変化率とその応用
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National Institute of Population and Social Security Research
国立社会保障・人口問題研究所 特別講演会
下記の要領で国立社会保障・人口問題研究所の特別講演会を開催いたしました。
日時 : 2018年10月31日(水)15:00 ~ 17:00
場所 : 日比谷国際ビル(内幸町)6階 国立社会保障・人口問題研究所 第4会議室(地図)
講演者: デビッド・スワンソン教授 (カルフォルニア大学リバーサイド校名誉教授、ワシントン大学人口学・生態学研究センター研究員)
題目 :「コーホート変化率とその応用」
ご講演の概要
私は,将来人口推計に関心のある他の多くの方たちと同様に,コーホート要因法こそが,現在および将来の性別・年齢別(あるいは他の属性別)の推計人口を得るための,事実上の標準的手法であると教えられてきた。しかし,この手法を用いて推計を進めていくと,精度が十分でない動態統計あるいは人口移動統計しか得られない場所では,コーホート要因法を採用することはあまり実用的ではないことに気づいた。折しもちょうどその頃は,小地域(特にカウンティより小さい地域)の人口推計に対する需要が急速に増大し始めていた時期に相当する。その結果,私は多くの研究仲間とともに,コーホート変化率に依拠するハミルトン=ペリー法を利用し始めることとなった。ハミルトン=ペリー法は,現在および将来の人口推計において,その実用性と精度が証明され受け入れられつつあるといってよいであろう。この方法の主要な用途は人口推計であるが,私は研究仲間とともに,過去数年間にわたってこの方法の用途の多様化,および,コーホート変化率による安定人口の分析や歴史人口の推計への応用の可能性を探ってきた。この講演では,コーホート変化率による種々のアプローチについて議論し,次のような具体的な応用例を紹介する:(1)コーホート変化率による将来人口推計の精度の事後的検証,(2)2005年に発生したハリケーン・カトリーナによる,ミシシッピ湾沿岸における人口学的影響の推計,(3)大リーグ投手の生命表と将来人口推計,(4)コーホート変化率の安定人口理論へのアプローチ,(5)ハワイの1778年(ヨーロッパ人が初めてハワイに達した年)の人口に関する,コーホート変化率を用いた「遡及的推計」。
* 本講演会は青山学院大学との共催で行われました。また厚生労働科研費研究「国際的・地域的視野から見た少子化・高齢化の新潮流に対応した人口分析・将来推計とその応用に関する研究(H29-政策-指定-003)」の一環として実施されました。
* ご講演は英語で行われ、日本語逐次通訳がつきました。