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本プロジェクトにおいては、国民移転勘定(National Transfer Accounts:NTA)ならびに国民時間移転勘定(National Time Transfer Account:NTTA)の手法を用いて、人口高齢化がジェンダーや世代間の財・サービスの移転構造に与える影響を解明し、少子高齢化やジェンダー関係の変容が社会保障、マクロ経済、無償労働といった国民経済の諸活動にどのような影響を与えるのかを定量的に把握・分析することを目指す。
NTAは、世代間における経済的な移転状況を測定・分析するための包括的なシステムであり、人口における年齢構造の変化が、世代間の移転構造を通じて経済に与える影響を分析するのに有用なツールである。また、NTTAは、生活時間調査を用いて、NTAでは捉えきれない無償労働(家事・育児・介護・ボランティア等)の世代間の移転を把握し、これを貨幣評価し、NTAと同一の枠組みで分析する一連の手法である。
NTAとNTTAを組み合わせることで、わが国における有償・無償の財・サービスが世代間でどのようにやりとりされており、将来人口の年齢構造の変化によって今後どのように変化していくのかについてのモニタリングおよびシミュレーションが可能となる。また、NTAとNTTAを性別に推計することで、ジェンダー間の移転構造についても分析することが可能となる。NTA及びNTTAの活用により、政策・制度変更等によるジェンダー・世代間移転への影響評価分析等が可能となり、厚生労働施策をはじめとする各種政策の立案・評価に貢献することが期待される。
本プロジェクトでは、①NTA及びNTTAを計算し、継続的に公表する体制を構築すること、②作成したNTA及びNTTAデータを用いた研究を行い、人口変動や制度変更が、自助(労働)、公助・共助(社会保障)、互助(家族や地域・血縁)を通じた世代間の支え合いに与える影響を解明することを目的とする。
※本プロジェクトでは、JST戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)日英共同プロジェクト「AI 等のテクノロジーと世帯における無償労働の未来:日英の比較から」(研究代表:永瀬伸子・お茶の水女子大学教授)と連携し、NTTAの応用に関する研究も進めている。
令和3(2021)~