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(1)研究目的
本研究は日本の少子化過程を解明するために,意識と行動の両面から接近し,とくに両者の不一致の状況
を明らかにすることを目的としている。行動変化のみならず,意識を考慮する理由は,同じ行動でもそれが
意図したものか否かで,本人のその後のウェルビーイングに違いが出る可能性があるからである。具体的には,
出生意欲と現実の出生行動のギャップを調査データによって記述し,時代変化や社会経済的属性によるパター
ンの違い,関連する条件などを検証する。しかしながら,日本の出生行動は,従来に比べて経路が複雑化し,
また集団における経験も多様化している。こうした複雑な行動変化を要約し,属性別の違いなどを効果的に
示す方法として,多相生命表や要因分解といった人口学的手法の適用を試みる。
(2)研究計画
前年度では,出生意図を含む出生力分析枠組みについて,専門家との意見交換をすすめるとともに,日米
間で比較可能なデータについての検討を行った。本年度は出生意図別出生力の社会経済的属性による違いや
時代変化がどのような家族形成行動の違いや意識と結びついているのかを,両国の比較を通じて明らかにす
る。また,前年度行った配偶関係別の多相生命表については,より最新のデータを含めて観察年齢を引き上げ,
結婚や離婚の動向についてより精緻な推定を試みる。
(3)研究組織の構成
研究代表者 岩澤美帆(人口動向研究部第1室長)
(4)研究成果の公表
報告書にまとめた上で,それをもとにした論文を国内外の学会で報告する。