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(1) 研究目的
東アジアではかねてから出生促進策を採ってきたシンガポールや日本に加え,2000年代に入って急激な出
生力低下を経験した韓国・台湾も出生促進策に急旋回した。これらは出生促進策を中心としながらも,子ど
もの福祉向上,若者の経済的自立,多様化するニーズへの対応等を含む包括的な家族政策パッケージになっ
ている。一方で東アジアの極端な出生力低下の要因に対しては,北西欧や英語圏先進国と異なる家族パター
ンの重要性が指摘されている。この点で,結婚制度の衰退や不安定化,成人移行の遅れ,世帯規模の縮小と
世帯構造の多様化,国際結婚の増加といった家族人口学的変動の中に出生力低下を位置づけることが,きわ
めて重要な意味を持つことになる。本研究は,日本を含む東アジアの低出生力国における家族人口学的変動
と家族政策の展開を比較分析し,それらを通じて得られた知見からわが国の今後の家族変動と家族政策に対
する示唆点を得ようとするものである。
(2) 研究計画
本研究では,東アジアの低出生力国の家族人口学的変動と家族政策の展開を,文献・理論研究及び専門家
インタビュー,マクロ及びマイクロデータの分析,将来予測の各段階を踏んで分析を進める。そのような分
析を通じて,東アジアにおける家族人口学的変動の特徴を明らかにし,それがどのような家族政策を発現させ,
そうした政策が過去にどの程度の効果を及ぼし,また将来及ぼし得るかを明らかにする。
第三年目の将来予測では,東アジアの人口・世帯・家族に関する将来推計を収集し,必要であれば独自に
推計を実施する。それを通じて,今後の家族人口学的変動と家族政策の展開における東アジア的特徴につい
て考察する。そして日本と東アジア,さらに欧米先進国との比較によって得られた知見から,日本の家族変
動と家族政策に関する示唆点を明らかにする。
(3) 研究組織の構成
研究代表者 鈴木 透(人口構造研究部長)
研究分担者 菅 桂太(人口構造研究部第3室研究員),伊藤正一(関西学院大学国際学部教授),
小島 宏(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
(4) 研究成果の公表予定
研究報告書を作成し,公表する予定である。