はじめに
将来推計人口の基本的性質と見方
推計結果の解説
仮定の解説
(1)合計特殊出生率1.26の意味
(2)なぜ寿命は延び続けるのか
(3)国際人口移動の仮定とその効果
(4)将来推計人口の国際比較
(5)将来推計人口の描く日本人のライフコース
1)女性の結婚・出生に関する多相生命表の作成
2) 女性世代の結婚・出生に関するライフコース
a) コーホート別にみた女性の未既婚・子供数の生涯実現確率
b) コーホート別にみた女性の生涯未婚率ならびに出生子供数分布
c) コーホート別にみた女性の子ども・孫を持たない割合
d) コーホート別にみた女性の未既婚・子供数の生存期間
e) コーホート別にみた女性の生存期間(平均寿命)の内訳
参考推計(条件付推計)
将来人口推計[報告書]

3.仮定の解説

(5) 将来推計人口の描く日本人のライフコース

2) 女性世代の結婚・出生に関するライフコース
  c) コーホート別にみた女性の子ども・孫を持たない割合

 表3-4、図3-24には、無子割合に加え、孫をもたない女性の割合も示した。

 出生した子どもがいない女性は、孫以降の直系子孫もいないことになるが、子どもを持った女性でもその子ども(たち)が孫世代を出生するとは限らない。

 ここでは子世代も1990年生まれ世代と同様の出生仮定に従って結婚、出生をするとして孫の有無の確率を算出した(注1)。

 その結果によると、50年、55年世代の実績では孫をもたない女性は、およそ5人に1人の割合だが、続く世代ではしだいに増えて行き、85年世代以降になると約50%の女性が孫をもたないことになる。

 すなわち、現在の日本人の生存状況と子どもの生み方を趨勢も含めて将来世代に投影すると、現在20歳より若い世代の女性では、2人に1人は孫以降の直系子孫をもたないという結果になる。

 こうした世代では従来のような家族同居などの生活様式は一変するに違いない。これまで社会において家族が果たしていた機能は大幅に弱まるだろう。とりわけ、彼らが高齢となっていったとき、縮小した家族・親族ネットワークの中で、従来それが担ってきた経済支援、介護等の助け合いの役割はどのように補われるのだろうか。

 このような傾向は、本推計を基に行われた世帯数の将来推計によっても、高齢者の単独世帯の増加として捉えられている。

 「日本の世帯数の将来推計」では、2030年までのわが国の世帯動態が明らかにされており(注2)、それによると今後の25年間で世帯主65歳以上の単独世帯は378万世帯から717万世帯へと86%増加する。しかも世帯主75歳以上でみると、197万世帯から429万世帯へと2.18倍に増大し、後期高齢層における独居が倍増する見通しとなっている。

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(注1) 子世代の男性も同様の仮定とした。
(注2) 前掲脚注を参照。

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