2.推計結果の解説
(1)人口減少のメカニズム
わが国の総人口は、明治期以降年平均1%の成長率で増加の一途をとどってきたが、2004年から2008年現在まではほぼゼロ成長となっており、この間に日本の人口はピークを迎えていたとみられる。
そして今後はマイナス成長となって長期的な減少過程に入って行く。「日本の将来推計人口」(平成18年12月推計)出生中位・死亡中位推計によれば、2005年時点1億2,777万人の人口は、2046年に1億人を割り、2055年には9,000万をも下回って8,993万人となる。これは2005年現在より約3,800万人(29.6%)の減少となり、日本はこの50年間に3割の人口を失うことになる。
さらに参考値ながら100年後の2105年には4,459万人と、当初の35%程度にまで縮小することになる。わが国では、歴史上このような長期にわたって恒常的に人口減が起きたことはなく、わが国の21世紀は、まさに人口減少の世紀と言えるだろう。
もちろん、50年あるいは100年といった遠い将来のことを見通すことは難しく、上記のような推移をたどることは確実とはいえないはずである。
しかし、最も人口が多く推移すると想定した出生高位・死亡低位推計によっても、2055年の人口は22.1%の減、2105年は51%の減となっており、かなりの人口減少を免れていない。
実は、わが国では今後21世紀の大半を通して人口減が続くことは、非常に確度の高いことであるといえるのである。なぜであろうか。その理由を理解するためには、まず人口減少のメカニズムに関係した出生率の人口置換水準と人口モメンタムという二つの概念を理解する必要がある。
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