3.仮定の解説
(1) 合計特殊出生率1.26の意味
1)期間合計特殊出生率とコーホート合計特殊出生率
合計特殊出生率とは、女性の年齢別出生率を15歳から49歳まで合計した値である。通常はある年に観察された年齢別出生率を合計する。これは厳密には期間合計特殊出生率と呼ばれる。
しかしこれとは別にある世代(同一出生コーホート)の女性たちが15歳から49歳までに経験した年齢別出生率を合計した指標も考えられる。こちらはコーホート合計特殊出生率と呼ばれる。実は、この値はその世代の女性が生涯に生んだ平均子ども数(完結出生児数)に一致する(注)。
もう一度期間合計特殊出生率について考えよう。
ある年次(たとえば2005年)の15歳から49歳の女性には、子どもを生み始める若い世代もいれば、出産ラッシュを迎えている世代、しだいに子どもを生み終えて行く世代など、出生に関するすべての段階の世代が揃っていることになる。
これらの年齢別出生率を合計するということは、その年に生きている多数の世代の子どもの生み方をつなぎ合わせることで、「仮の生涯」を観察したとみなすわけである。
言い換えると、期間合計特殊出生率とは、仮にその年における女性の子どもの生み方に従って生涯を過ごした架空の世代がいたとすると、その世代の平均子ども数に他ならない。これは、期間合計特殊出生率の数値に対するわかりやすい解釈である。
ただし、ここで注意すべきは、そうした世代はあくまで架空の世代であるという点である。
(注)厳密にはその世代における15歳から49歳までの死亡や海外移出入の影響がなかったとした場合の平均子ども数である。なお、ここでは15歳未満や50歳以上での出生は考えないため、簡単のために15歳から49歳までの経験を「生涯」の経験と呼んでいる。
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