1.将来推計人口の基本的性質と見方
(2)将来推計人口の基本的性質
4)公的推計の捉え方
さて、以上では無条件な将来の予測(言い当て型の予測)と、一定の前提に基づいた推計、とりわけ投影との違いについて考えた。
しかしそれでは、将来推計人口は予測として用いることはできないのであろうか。
実は、それはすべて前提(仮定)の捉え方に依存する。
すなわち、前提が予測として認められるのであれば、その帰結である将来推計人口も予測となり、逆に前提が単なる仮想であれば、結果としての推計人口も仮想のものとなるはずである。
それではわが国の将来人口を予測しようと考える場合、どのような前提を考えればよいであろうか。
その際、正確な実績データを基にした前提以外は、どのような形であれ結局は恣意性を含んでいるといえるだろう。そして、実績データを基にする仮定の設定法の中では、主要な変動要素の趨勢を将来に投影する方法は、最も自然で、それゆえ客観的な仮定の設定法といえるのではないだろうか。
「日本の将来推計人口」もこうした考え方に基づいて行われている。
現在の社会科学では、人口の「予測」についてもこうした客観性を超える望ましい基準を有していない。
したがって、「日本の将来推計人口」は、一方では、実績データが示すわが国の向かう方向にそのまま進行した場合という、前提条件つきの人口の姿と捉えつつも、同時に現在においては最も客観的な人口の将来像という二面性を合わせ持っている。
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