1.将来推計人口の基本的性質と見方
(2)将来推計人口の基本的性質
3)投影としての将来人口推計
ちなみに、各国の将来人口推計についてみると、ともに正式な名称には、projection(投影)という言葉が用いられている。本来この言葉は、手元にある小さな物体に光を当て、前方のスクリーンに拡大投影して細部を明らかにするということを指す。
すなわち、将来人口推計は、直近の人口動態に隠された兆候を、将来というスクリーンに拡大投影して詳細に観察するための作業であるということを意味している。
実際「日本の将来推計人口」においても、人口動態の現状と趨勢を実績データの分析によって詳細に把握し、これを将来に向けて投影することによって仮定値を得ている。この仮定値に基づいて推計されたのが「日本の将来推計人口」である。
すなわち、「日本の将来推計人口」は、現在わが国が向かっている方向にそのまま進行した場合に実現するであろう人口の姿を示しているといえる。そして、これを一つの基準として、多様な将来への対応を考える際の基礎としている。
また、実際の人口推移が明らかとなったとき、それが将来推計人口と異なる動きを見せ始めたとすると、それは前提に含まれない新たな変化か、あるいは以前見られた趨勢の加速、または減速といった状況変化が存在することを示している。こうした変化をいち早く見出すことも、実は将来推計人口の重要な役割である。
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