3.仮定の解説
(4) 将来推計人口の国際比較
2) 人口ピラミッドの国際比較
次に、将来人口の年齢構造についても比較してみよう。将来の年齢各歳別・男女別人口のデータが公開されている主要国について、2010年と2050年の人口ピラミッドを描いたものが図3-22である(いずれも中位推計)。
日本とドイツでは、超低出生率と低死亡率の仮定の組み合わせによって、将来、著しく裾が狭まった壺(つぼ)状の逆三角ピラミッドへと変わっていくことがわかる。
とりわけ日本の場合には、2050年に年少人口割合が1割を下回り(8.6%)、生産年齢人口割合は人口の半分程度(51.8%)、老年人口割合は約4割を占める(39.6%)。
すなわち、日本の人口は世界でも最先端の少子高齢化を示すことになる。
それに対して、現状で日本やドイツより出生率が高いスウェーデン、フランス、アメリカでは、若い年齢層の人口割合が減ることはなく、2050年時点の人口ピラミッドは寸胴の釣鐘(つりがね)状を呈している。老年人口割合は20〜26%にとどまり、同指標が30%を超えるドイツや4割となる日本に比べて、安定した年齢構成を維持している。
将来人口推計によって各国の人口の将来像を国際比較してみると、日本の将来人口は、人口減少、出生率の低下、人口高齢化のいずれにおいても、群を抜いた領域に向かっていることがわかる。それらの変化が著しい先進国の中においても、変化のペースならびに最終的な水準の両方において、わが国は特異な存在となっている。
1990年代の始めの頃までは、日本は出生率も高齢化率も先進諸国の中では中間的な存在であったが、わずかな年月の間に袂(たもと)を分かつことになった。
わが国が、今後将来推計人口の描く道筋に沿って進むとすれば、模範となる他国の事例は存在しないのであるから、社会のあらゆる面で独自の対応を模索しつつ新しい仕組みを構築してゆくことが必要となる。
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