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国立社会保障・人口問題研究所

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研究所の紹介

研究プロジェクト
1. 2025年、その後を見据えた地域の医療・介護提供体制の評価体系の構築を目指して
医療及び介護の総合的な確保に資する基金の効果的な活用のための持続的な評価と計画への反映のあり方に関する研究(平成27〜28年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
2025年に「団塊の世代」が全て75歳以上となる超高齢社会を迎えます。国民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことが重要課題です。そのような中で、利用者の視点に立って切れ目のない医療及び介護の提供体制を構築し、国民一人一人の自立と尊厳を支えるケアを将来にわたって持続的に実現していくことが必要とされています。
本研究では、上記の厚生労働省の施策について研究面から貢献すべく、「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」第6条に基づく基金(地域医療介護総合確保基金)について、(1)基金の効果的・効率的な活用に必要な持続的な評価方法と、そのための指標等を構築すること、(2)基金で実施する事業の都道府県による選択に影響を与える要因を明らかにすること、(3)都道府県における実施サイクルの実際を明らかにすること、を行いました。
●医療と介護の総合的な確保に向けた評価の枠組み(概念図)
医療と介護の総合的な確保に向けた評価の枠組み(概念図)"
●構成された基金事業の評価指標例(事業区分1)
●構成された基金事業の評価指標例(事業区分1)
2. 「活動」「参加」レベルを向上させるリハビリテーションのあり方をさぐる
要介護高齢者の生活機能向上に資する効果的な生活期リハビリテーション/リハビリテーションマネジメントのあり方に関する総合的研究(平成27〜29年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。
生活機能の低下した高齢者が住み慣れた地域で生活を続けていくためには、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることが重要とされていますが、現在提供されているリハビリテーションの多くは「心身機能」の回復に偏っているのが実態です。
本研究では、高齢者の「活動」「参加」レベルの向上に資するリハビリテーションの方法を明らかにし、これらの方法を効果的に機能させるためのマネジメントの手法を開発することを目的としております。
●図1 高齢者リハビリテーションのイメージ
高齢者リハビリテーションのイメージ
  • 2001年5月に世界保健機関(WHO)総会において採択された国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health, ICF)では、人が生きていくための機能全体を「生活機能」としてとらえ、@体の働きや精神の働きである「心身機能」、A食事摂取などの身の回りの生活行為(ADL)・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、B家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」の3 つの要素から構成されるとしています。
    出所)厚生労働省『平成28年版 厚生労働白書』
●図2 リハビリテーション利用者の状態の変化
リハビリテーション利用者の状態の変化
  • 通所リハビリテーションを利用している高齢者のうち、1 年後も在宅生活を継続しているグループ(在宅群)と施設等へ入所した群(非在宅群)とで、1年間の状態の変化を比較すると、非在宅群では心身機能のみならず、ADL・IADL機能が低下している者の割合が高くなっていることがわかります。
●図3 リハビリテーションの実施状況
リハビリテーションの実施状況
  • リハビリテーションで行われている具体的な内容をみてみると、「歩行・移動訓練」などの身体機能の機能回復を目的としたメニューが高い割合で行われている一方で、ADL(食事・排泄・入浴など)やIADL(調理・洗濯・買い物など)の向上を目的としたメニューの実施割合は低くなっていることがわかります。
3. 人口や世帯の先端的動向分析に基づき次世代の将来推計システムやその政策的応用を探求
人口減少期に対応した人口・世帯の動向分析と次世代将来推計システムに関する総合的研究(平成26〜28年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
人口・世帯の将来推計は各種施策立案に活用されていますが、わが国が人口減少期を迎えるにあたり、地域や世帯の変化が少子化・長寿化等の全国的潮流に影響を与え、相乗しながら展開するようになっていることから、最新の研究動向を反映した人口・世帯の動向分析の深化や、地域・世帯の将来に関する情報提供により重点を置きこれに全国的な少子化・長寿化の傾向を整合させるという新たな観点を導入した将来推計モデルの開発、また人口・世帯の将来推計を用いた政策的シミュレーションが求められており、人口減少期に対応した新たな人口学的将来推計に関して総合的な研究を行うことを目的として研究を行いました。
具体的には、@最先端技術を応用した人口減少期における総合的な人口・世帯の動向分析、A地域・世帯に関する推計に重点を置いた次世代将来推計モデルに関する基礎的研究、B将来推計を活用した政策的シミュレーションに関する研究の三領域に分けて研究を推進しました。
●プールモデルによる人口移動の将来推計法(概念図)
プールモデルによる人口移動の将来推計法(概念図)
次世代将来推計システムに関する研究では、プールモデルによる都道府県別将来人口推計を行いました。この研究によると、人口移動に関して矛盾がなく安定した推計結果が算出されること、単一地域モデルで純移動率を縮小させた場合に近い結果が得られる可能性があること、各仮定が他地域も含めた推計結果に及ぼす影響も定量的に評価することが可能であることなどが明らかとなりました。
●外国人受入れの厚生年金所得代替率への影響(パターン1)
外国人受入れの厚生年金所得代替率への影響(パターン1)
政策シミュレーションへの応用として、外国人人口受入れが公的年金に与える財政影響シミュレーションを実行しました。左図は、外国人労働者を受け入れた場合の厚生年金への影響を所得代替率で示したもので、パターン1とは男性低賃金労働者を受け入れるケースです。横軸は受入ケースを示し、外国人受入拡大を行わない基本ケースに対し、厚生年金で受け入れるのがA、B1、B2、国民年金がA'、B' です。Aは外国人労働者のみ受け入れるのに対し、B は配偶者や家族の帯同・呼び寄せを行うもので、さらに、B1 とB2 は第2世代以降の労働者の賃金レベルで、B1 は低賃金、B2 は高賃金のケースです。
受け入れた外国人を厚生年金へ適用する場合、基礎年金の水準低下幅の拡大が抑えられることがわかります。このように、外国人受入れの議論においては、長期の人口動向への影響に加え、基礎年金水準低下問題に対応する効果があることにも注目が必要です。
4. 東アジア、ASEAN 諸国の人口高齢化と人口移動に関する総合的研究
(平成27〜29年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
韓国・台湾の出生率は日本を大幅に下回り、中国・シンガポールなども日本に近い低出生率を示しています。現在は日本が世界で最も人口高齢化が進んだ国ですが、将来は韓国・台湾が日本を追い越し、他の東アジア・ASEAN 諸国も日本に迫ることが確実視されています。こうした急激な出生率低下と人口高齢化は、地方の過疎化と大都市への人口集中を通じた国内人口移動と、医療・介護従事者を含む外国人労働者や国際結婚、退職者招致などを通じた国際人口移動を活発化させると考えられます。本研究はこの地域の急激な少子高齢化と、それによって触発される様々な人口移動を把握し分析することを目指しています。
●65歳以上人口割合
65歳以上人口割合