はじめに
将来推計人口の基本的性質と見方
推計結果の解説
(1)人口減少のメカニズム―人口減少の世紀
(2)人口ピラミッドの変遷―人口高齢化を視る
(3)将来推計人口における仮定値改定の効果−推計結果の比較分析
(4)将来推計人口の不確実性と確率推計の試み
1) 確率推計の方法
a) 平均余命と合計特殊出生率の仮定値
b) 年齢別生残率ならびに年齢別出生率への変換と将来人口の推計
2) 確率推計による総人口・年齢別人口割合の推計
仮定の解説
参考推計(条件付推計)
将来人口推計[報告書]

2.推計結果の解説

(4)将来推計人口の不確実性と確率推計の試み

1) 確率推計の方法 
  b) 年齢別生残率ならびに年齢別出生率への変換と将来人口の推計

 このようにして得られた2050年時点の平均寿命、TFRの仮定値分布をもとに、推計期間全体にわたる仮定値分布を設定する。すなわち、各年の仮定値分布の平均が平成18年12月推計(出生中位・死亡中位)の仮定値推移と一致するようにし、変動係数は、2005年にゼロ、2050年に有識者調査と同一とし、他の年はこれらの線形補間によって設定した。

 ただし、これらの年次間の仮定値には過去の実績値から得られる自己相関係数を用いて、おのおの相関を持ちながら推移するようにした。なお、国際人口移動は元の推計のままである。

 こうして生成した平均寿命とTFRの仮定値を組とし、年次ごとの年齢別生残率ならびに年齢別出生率へと変換した後に、元の推計と同様のコーホート要因法によって将来人口を推計する。これらの推計を多数回(ここでは10,000回)実行することによって、仮定値の組ならびに将来推計人口の確率分布が得られることになる。

 図2-9には、平均寿命 e0 の50%、90%、95%の信頼区間と分布の平均値・中央値の年次推移を示した。また、比較のため、平成18年12月推計、死亡高位、死亡低位仮定による平均寿命の推移も示している。

 2055年における平均寿命の50%信頼区間は、男性5.7年(80.9〜86.5)、女性4.5年(88.2〜92.7)、95%信頼区間では、男性21.3年(73.4〜94.7)、女性19.6 年(80.7〜100.2)となっている。女性では平均寿命100年もこの95%信頼区間に入っている。

 なお、平成18年12月推計における2055年における高位仮定と低位仮定の平均寿命の幅は、男性2.52年(82.41〜84.93)、女性2.34年(89.17〜91.51)であり、上記の50%信頼区間よりもかなり狭いものである(注1)。

図2-9 各年における平均寿命の信頼区間

 図2-10には、各年における合計特殊出生率(TFR)の50%、90%、95%信頼区間と分布の平均値・中央値の推移を示した。やはり平成18年12月推計との比較のため、出生高位・出生低位仮定の推移も同時に示している。

 2055年における合計特殊出生率の信頼区間は、50%信頼区間が0.16(1.15〜1.31)、95%信頼区間が0.89(0.95〜1.84)となっている。平成18年12月推計における2055年におけるTFRの出生低位仮定、高位仮定の幅は0.49(1.06〜1.55)であり、上記の50%信頼区間よりは大きく、95%信頼区間よりは小さいものとなっている(注2)。

図2-10 各年におけるTFRの信頼区間等

(注1) 平成18年12月推計における死亡高位、死亡低位仮定は、仮定設定に用いたLee-Carterモデルの死亡水準を表すパラメータ(kt)実績値の99%信頼区間をもとに設定されている(詳しくは前掲脚注1)の報告書を参照のこと)。
(注2) 平成18年12月推計における出生高位、出生低位仮定は、出生率を構成する要素(結婚、夫婦出生、離死別など)の各指標について、それぞれの実績値の変動幅を調べ、これらを組み合わせることで設定されている(詳しくは前掲脚注)の報告書を参照のこと)。

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