第 2 次大戦前の我が国では,食料問題や失業問題を背景として,過剰人口への関心が高まると同時に,人的資源の確保という観点からも人口問題が注目を集めた。こうした状況の下で,昭和 14 年( 1939 年)8 月,「人口問題研究所官制(勅令)」により人口問題研究所が設立された。
我が国の社会保障は,昭和 30年代の半ばに医療と年金の国民皆保険制を確立し,着実に発展してきたが,社会保障を基礎的・総合的に研究する体制は未整備にとどまっていた。昭和37 年(1962 年),社会保障制度審議会は,社会保障の調査研究機関の設立を政府に勧告し,それに基づいて,昭和 40 年(1965 年)1月,「社会保障研究所法」により社会保障研究所が設立された(写真の門札は大内兵衛書)。
少子・高齢化や経済成長の鈍化により,人口と社会保障との関連は以前に比べて密接となり,両者の相互関係を総合的に解明することが必要となってきた。厚生省は,時代に応じた厚生科学研究の体制を整備するため,厚生省試験研究機関の再編成を検討すると同時に,特殊法人の整理合理化という社会的要請を受けて,平成 8 年(1996 年)12 月,厚生省人口問題研究所と特殊法人社会保障研究所との統合により,国立社会保障・人口問題研究所を設立した。