2.推計結果の解説
(2)人口ピラミッドの変遷
2) 中位数年齢を用いた人口高齢化
人口高齢化を示す指標は他にもいくつかあるが、その一つに中位数年齢がある。これは、人口を二分する年齢のことであるが、人口が若い年齢層に集中していれば、低い値となり、高齢に集中すれば高い値となる。
実際、人口ピラミッドがまだ山型を示していた1955年には、日本の人口の中位数年齢は23.7歳(平均年齢は27.6歳)であった。これは人口の半分が年齢23.7歳以下、すなわち青少年であったことを示す。
これに対して、50年後の2005年現在の同指標は43.3歳(平均年齢も43.3歳)と約20年高まり、若年層の年齢分布が疎らになったことを示している。
さらに、今後についてみると、同指標は、2030年では53.0歳(同50.9歳)、2055年で57.8歳(同55.0歳)となっており、50年後では人口の半分が現在の定年期以上の年齢となっている。
実は、50年前の1955年の人口規模 8,928万人は、出生中位(死亡中位)推計による2055年の総人口8,993万人とほぼ同じである。わが国の人口はこれから50年かけて、ほぼ50年前の規模に戻って行くことになる。
しかし、中位数年齢では、1955年23.7歳、2055年57.8歳が示すように、その年齢構成はまったく異なり、決してかつての人口へ逆戻りするわけではない。
また、こうした年齢構成の転換は、当然人口中のあらゆる分野に生ずるとみるべきである。たとえば、労働市場、消費市場なども、規模の縮小だけでなく、むしろその中で起こる高齢化という急速な構造転換に注意を払わなくてはならない。
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