2.推計結果の解説
(3)将来推計人口における仮定値改定の効果 −推計結果の比較分析
将来推計人口は、出生、死亡ならびに国際人口移動の今後の動向を仮定することによって算出される。また、新たに推計を行うにあたっては、まず以前の推計において仮定した各種指標と、推計後に公表された実績値と比較検証を行い、乖離の生じた原因の分析を行い、新たな仮定の設定に反映させることとしている。したがって、新たな仮定値と旧仮定値の差は、その間にみられた実績値の新たな展開を反映したものとなる。
一方で、仮定値の差は、それらに基づいて推計された将来人口の差となって表れるから、以前の推計結果と新しい推計結果の違いについて分析することは、それら要因の直近の変動が将来人口に対して持つ意味を理解することに役立つ。
たとえば、出生率の仮定を近年の実績を反映させて以前よりも下方に修正したとすると、将来の年少人口は以前の推計よりも少なくなるとともに、人口高齢化のペースと到達水準はともに高進し、さらには人口減少も加速することになる。
したがって、それらの人口変動を両推計の比較から求めれば、直近における出生率の新たな展開の人口変動に対する効果を計量することができる。これらはその他の要因についても同様である。
ここでは日本の将来推計人口について、平成14年1月推計 )(H14年推計と略記)と平成18年12月推計(注1)(同H18年推計(注2)とを比較することによって、それらの間に生じた人口動態率等の新たな展開が持つ将来の人口変動への影響を分析することにしよう。
(注1)国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計(平成14年1月推計)』2002年3月。
(注2)国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計(平成18年12月推計)』2007年3月。
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