はじめに
将来推計人口の基本的性質と見方
推計結果の解説
(1)人口減少のメカニズム―人口減少の世紀
(2)人口ピラミッドの変遷―人口高齢化を視る
1)人口ピラミッドの変遷―人口高齢化を視る
2) 中位数年齢を用いた人口高齢化
(3)将来推計人口における仮定値改定の効果−推計結果の比較分析
(4)将来推計人口の不確実性と確率推計の試み
仮定の解説
参考推計(条件付推計)
将来人口推計[報告書]

2.推計結果の解説

(2)人口ピラミッドの変遷

1)人口ピラミッドの変遷

 今後の人口変化についてなによりも雄弁に語るのは人口ピラミッドの変遷であろう(図2-3)。2005年現在は中高年層の厚い姿を示しているが、今後の継続的な低出生率の推移を反映して、しだいに裾の狭まった形状へと変化して行く。そして50年後には非常に重心が高く、いかにも安定を欠いた逆三角形のピラミッドへと変貌する。

 2005年に30歳代前半にみられる第2次ベビーブーム世代の突出が、2030年には50歳代後半に、2055年には80歳代前半となっていることから、年次とともに人口全体が上方に移動して行くようすがわかるだろう。

 ここでは死亡中位仮定に対して、出生中位、高位、低位仮定を組み合わせた3通りの推計の結果を示している。

 死亡仮定は共通であるから、2030年の25歳以上、2055年の50歳以上の人口については、3推計に共通となる (注)。

 したがって、人口ピラミッドの老若のバランスを変えるもの、すなわち人口高齢化の度合いを決めるものは、今後の出生率推移であることがわかる。

 図では出生3仮定にしたがって、ピラミッドの裾の部分が分岐しており、外側から出生高位推計、中位推計、低位推計の順となっている。

 これらによって決まる2055年の高齢化率(65歳以上人口割合)は、出生中位推計では40.5%、高位推計でも37.3%、低位推計なら43.4%と全体で約6ポイントの幅が生じている(図中の値は出生中位推計のみ表示)。しかし、逆にいえばいずれの場合でも2005年現在の高齢化率(20.2%)がほぼ倍増することは変わらない。

 現状からみて出生率がかなり高めに推移することを想定したとしても、世界一の高齢化が進行することを免れるものではない。

 人口ピラミッドの変遷からわかるわが国の高齢化の特徴は、この50年間に総人口は減少するにもかかわらず、65歳以上ではむしろ人口増が生じ、それ以下の年齢で著しい減少が生じているということである。

 実際、出生中位(死亡中位)推計によれば、総人口は、約3,800万人、当初人口の約3割に相当する人口が減少するが、15歳未満の年少人口で約1千万人の減、15歳から64歳の生産年齢人口では約3,800万人の減があり、これら65歳未満の人口で合わせて4,850万人(同年齢層の当初人口の48%)の減少が生ずる。言い換えれば、高齢者以外の人口は、この50年でほぼ半減するということである。

 これに対し高齢(65歳以上)人口は1,070万人の増加を示し、同年齢層の当初人口に比べて41.5%も膨らむ。その結果として、上述の人口高齢化が生ずるとみることができる。

(注) 死亡仮定の違いによる効果をみると、2030年における25歳以上人口は、死亡高位、低位推計でも大きくは変わらず、死亡中位推計に対してそれぞれ1.1%、−1.1%だけ異なるだけである。2055年における50歳以上人口も、3.1%、-3.2%の違いであるから、いずれの年次も死亡仮定の違いによって人口ピラミッドの様相は図2-3とさほど違わない。

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