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国立社会保障・人口問題研究所

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研究所の紹介

研究プロジェクト
1. 人口の歴史的運動法則をさぐる
第一、第二の人口転換の解明に基づいた人口・ライフコースの動向と将来に関する研究(平成23〜25年度)
[文部科学研究費補助金]
世界中で歴史的な潮流となりつつある人口成長の終焉と少子高齢化をもたらした2つの人口転換に着目し、その進展のメカニズムならびに経済社会変動との関連の解明を目指しました。先進諸国は多産多死から少産少死への転換(古典的人口転換)を終えた後、価値観やライフスタイルの変化にともなって人口置換水準下の低出生率(第二の人口転換)を経験しました。このため今後の人口と経済社会のゆくえは不透明になっています。この現象は先進国以外へも広がりを見せ、21世紀後半は世界中で少子高齢化にともなう社会変動が進むとみられます。とりわけ日本は変化の先頭を進んでおり、世界で最初に未知の次世代人口・社会レジームに入ろうとしています。本研究では2つの人口転換期に起きた人口・経済社会変動をシステムの必然的な展開過程として捉え、将来人口推計手法などによりそのモデル的再現に挑み、人口転換理論の再構築と今後の展開についての知見を得ることを目指しました。
●わが国における人口転換期から第二の人口転換期(ポスト人口転換期)の移行過程
わが国における人口転換期から第二の人口転換期(ポスト人口転換期)の移行過程
わが国の人口転換は戦後の1950年代後半に一旦終息期を迎えた。しかし、70年代半ば以降、再び変動に入り、90年代以降に変動の帰結が顕在化した。人口、経済、社会の各分野におけるフェーズの変遷は、驚くぐらい同調しており、それらが必然的な展開であることを示唆している。
●世界の地域別にみた、人口動態レジームの推移:実績と推計(国連2012年推計)
世界の地域別にみた、人口動態レジームの推移:実績と推計(国連2012年推計)
古典的理論によれば人口転換とは自然動態平面(平均寿命×合計特殊出生率の散布図)において、人口置換水準ライン上の2つのレジーム(前近代化レジーム=多産多死、近代レジーム=少産少死)の間での一時的離脱と復帰による移行過程として定式化できるが、先進諸国で実際に生じたのは置換ライン下へのオーバーシュートだった。国連は古典理論に立脚して各国ともいずれ人口置換ラインに復帰するものとして将来推計(白抜きで表示)を行っているが、今後も復帰しないという立場からの脱近代化レジームも提唱されている。
2. 将来の人口や社会保障は外国人の受入れでどう変わるのか
外国人人口の受入れによる将来人口の変化と社会保障への影響に関する研究(平成23〜24年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
わが国は現在、先進諸国の中でも極めて低い出生水準となっており、また、このような低水準出生率の継続が見込まれることから、今後、恒常的な人口減少過程を経験するものと見られています。また、これに加え、平均寿命は国際的にトップクラスの水準を保ちつつ、なお伸長が継続しており、少子化に長寿化が相俟って、他の先進諸国でも類を見ないほど急速な人口の高齢化が進行するものと見られています。わが国ではこれまで、外国人人口受入れに関しては比較的保守的な政策を採ってきたことから、これら少子・高齢化がもたらす問題の解決策としての外国人人口受入に関する本格的な定量分析が十分に行われてきたとは言い難い状況にあります。しかし、今後の施策立案にあたり、外国人人口受入れによる将来人口の変化について、複数の前提条件の下に仮想的シミュレーションを行って定量的評価を行うとともに、その社会保障へのインパクトを分析しておくことは極めて重要であり、本研究ではこのような課題に対して、人口学的分析を中心とした総合的研究を行うことを目的として行われました。
●外国人の受入れが将来人口に与える影響 外国人受入れの総人口への影響
外国人の受入れが将来人口に与える影響 外国人受入れの総人口への影響
  • 男性労働者の受入れは総人口を増加させますが、さらに配偶者の受入や第二世代以降の誕生を仮定すると増加の規模は極めて大きくなります。
  • また、外国人の受入れは、総人口のみならず人口の年齢構成にも大きな影響を与えますが、この年齢構成の社会保障への影響が顕著に出るのが、厚生年金の賦課保険料率(スライド調整前)の見通しです。
●外国人の受入れが厚生年金に与える影響 厚生年金の賦課保険料率(スライド調整前)の見通し
外国人の受入れが厚生年金に与える影響 厚生年金の賦課保険料率(スライド調整前)の見通し
厚生年金の賦課保険料率の見通しは、年金を受給する世代の人口と支 える世代の人口の比率に相当する「老年従属人口指数(男性)」の見通しと類似しており、ここから、
  • 男性労働者の受入は、短期的には年金財政にプラスに働くが、長期的には移入者自身の高齢化によるマイナス面がある
  • 一方、男性労働者の家族呼び寄せや移入した女性の出生行動が長期的にはプラス面をもたらす
ということが明らかとなりました。
3. 多職種による協働ケアマネジメントの効果を探る
要介護高齢者の生活機能向上に資する医療・介護連携システムの構築に関する研究(平成22〜24年度)
[厚生労働科学研究費補助金]
現在、医療費適正化の観点から、入院日数の短縮化が進められています。しかし、入院患者の約7割を占める高齢者の退院は円滑に進まない場合も多い。そのため、円滑な退院を支援するための仕組み作りが現在進められています。

さて、要介護者が自宅に退院する場合、退院後の介護サービスは、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づいて提供されますが、退院直後は日常生活活動(ADL)が大きく変化しやすいため、リハビリテーション専門職(以下、リハ職)とケアマネジャーが十分に連携を図ることが重要となります。しかしながら、退院時における両者の連携の実態を明らかにした研究はありません。

そこで、本研究では、ケアマネジャーを対象としたアンケート調査により、両者の連携の課題を明らかにするとともに、協働で実施したケアマネジメントの効果の検証を目指しました。
●図1 退院前ケアカンファレンスへの参加率(急性期病床からの退院のケース)
図1 退院前ケアカンファレンスへの参加率(急性期病床からの退院のケース)
退院前ケアカンファレンスとは、病院と在宅の関係者が一堂に会して、要介護者の退院後のサービスや療養上の留意点などを確認するための重要な会議です。しかしながら、病院のリハ職の参加率は低く、また、在宅のリハ職はほとんど参加できていません。これでは、退院後のケアプランにリハサービスを適切に導入することは出来ません。

出所)川越雅弘、備酒伸彦、森山美知子:要介護高齢者に対する退院支援プロセスへのリハビリテーション職種の関与状況-急性期病床、回復期リハビリテーション病床、療養病床間の比較-、理学療法科学、26(3)、387-392、2011.6.
●図2 協働で実施したケアマネジメントの効果
ア)ADL の変化
ア)ADL の変化
イ)ケアプランの変化(サービス内容の導入率の変化)
イ)ケアプランの変化(サービス内容の導入率の変化)
退院後のケアプラン作成を在宅のリハ職の助言を受けながら行った群(協働ケアマネジメント群)と、ケアマネジャーが単独で行った群(通常ケアマネジメント群)で退院直後と退院 3 ヶ月後の ADL の変化を比較すると、通常ケアマネジメント群に比べて協働ケアマネジメント群で有意にADLが改善しています。また、ケアプラン内容をみても、通常ケアマネジメント群ではケアプラン内容に変化がないのに対し、協働ケアマネジメント群ではバランス練習の導入率が有意に高まるなど、リハ職の助言がケアプランに反映されている様子がうかがえます。