7.家族に関する妻の意識



     今回の調査では、前回とほぼ同様の内容で、夫婦に関する規範意識、子どもに関する規範意識、および老親に関する規範意識などの家族規範に対する賛否を調べている。5年前の第1回調査との比較を中心に、それらの中から主な結果を紹介する。

1.家族に関する規範意識

  • 「年をとった親は息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」に対して否定的態度が1割増加
     現実の家族生活は、夫婦や親子間の関係・あり方を指示する様々な規範(ここではそれらを総称して家族規範とする)にもとづいて営まれている。 それは価値基準として家族成員個々の行為を内面から方向づけ、結果的に家族の形態、構成や機能をも規定しうるものである。したがって、家族規範に対する人々の意識や変化を明らかにすることは、今後の家族のゆくえを占う上できわめて重要である。

     ここでは代表的な家族規範をとりあげ、それぞれに対する妻の意見を尋ねている。第1回調査と第2回調査の比較を中心に、主たる結果を紹介していく。

     両調査の回答を比較すると、多くの設問で伝統的価値観を否定する方向にふれる結果がみられた。しかし、その変化は小さいもので、全体としては前回調査の回答傾向を維持する項目が多かった。そのなかで多少目立ったのは、「年を取った親は息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく育てるべきだ」などで伝統的考えに対し否定的態度を示す妻が、それぞれ、11.1ポイント,3.8ポイント増加した。また、「夫、妻とも同姓である必要はなく、別姓であってもよい」に対して賛成が4.1ポイントの増加であった。そのほかには、第1に、夫婦関係や老親との家族関係に関する規範については、世代間の差異はあるものの、若い、とくに、20代の専業主婦の妻に、前回同様に比較的伝統的な意見がみ受けられたこと。第2に、親子関係に関する規範については、前回に増して、夫婦や個人よりも子ども重視の家族生活を支持する人が増加したことなどである。
図25 家族に関する規範意識
家族に関する規範意識



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