2.母親の働きかた―現実と理想

  • 相変わらず高い再就職志向。子どもを持たずに働き続けるDINKS型を志向するものは少数派
     就業パターンをDINKS型、継続型、再就職型、専業主婦型、その他の5カテゴリーに分けてみると、理想と現実の一致が最も高くみられたのは、再就職型である。
表21 現実と理想の働き方のクロス表
現実と理想の働き方のクロス表


     最も低いのはDINKS型であって、現実も理想も子どもなしで働きつづけたいと思っているのは、1割にも満たない。調査時点でDINKS型に属する者の4割以上の者は再就職型を志向しており、子どもを産んでも働き続けたいと思っているのは3割弱である。もっとも、DINKS型の約4分の1は20代であって、他の働き方パターンより20代の占める割合が高いことは考慮すべきであって、これからもDINKS型を維持していくかどうかは疑わしい。実際、20代の既婚女性の中で、理想の働き方としてDINKS型をあげた者はとりたてて多くなく、DINKS型を理想とした者のなかでは30代、40代の占める割合の方が高い。ここでも若年層がかえって伝統的である側面もうかがわれる。
表22 学歴別理想の働き方のクロス表
学歴別理想の働き方のクロス表


     理想のパターンと学歴との相関では、大卒においてもDINKS型志向は低く子どもを持ちながら仕事をする継続型を志向しており、専業主婦志向は低い。同じ高学歴者といえども4大卒と短大卒とでは専業主婦志向において違いがみられる。短大卒においては高卒、義務教育のみ修了者と同程度の専業主婦志向がある。



  • 未就学児を持つ母親にとって、一番下の子が小学校にあがることは仕事を始める一つの契機
表23 未就学児を持つ母親の働く予定分布
未就学児を持つ母親の働く予定分布


     小学校前の子どもを持つ母親の就業計画についてみると、「一番下の子が小学校に入ったら」と「いつからはわからないが、いつかは働きたい」という返答が多い。多くの幼い子どもを持つ母親はまた働きたいという欲求をもっており、一番下の子の小学校入学は一つの転機となるようで、さもなければ具体的な予定はないが漠然とした働きたいとする願望を抱いているようだ。一方、子どもが小学校にあがるまで働いている者は、これからも働き続けたいという強い意志を持っている。母親の働きたいという願望は現実的にも潜在的にも存在することが認められた。
表24 保育の希望開所時間
保育の希望開所時間


     ただ、一番下の子が保育園に入ったら働きたいとした者は9.3%、子どもをどこかに預けられたら働きたいとする妻6.4%を合わせて15.7%と、乳幼児の家庭外保育に対する期待は低くはない。そこで、希望する保育所の開所・閉所時間について聞いてみると、開所時間で最も希望が多いのは午前7時から9時の間で、特に7時から8時前を希望した者は半数近い。閉所時間については、午後6時から7時を希望した者が3分の2近いが、26.6%の者が7時以降の閉所を希望している。第1回調査と比較してみると、開所時間については午前7時から8時までの割合が増えており、閉所時間は午後7時から8時の希望者が増えている。つまり、保育時間についても、朝7時から夜は7時以降と柔軟な保育サービスへの高いニーズが見られる。



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