6.出産、子育てと就業行動
1.出産前の仕事と出産後の継続状況
- 事務職や大企業に勤める者は、かえって仕事をやめやすい。子どもを産みな
がらも仕事を続けている者の大半は、自営・家族従業者である
第1子出産前に仕事に就いていたものは、既婚女性の半数以上(56.1%)である。
出産にあたって、仕事を続けた者は4分の1強の27.3%で、やめた者が72.8%にものぼ
る。
表20 第1子出産時の就業継続状況
第1子出産前についていた職種別に出産後も仕事を継続した者の割合をみてみると
、職種ごとに異なる継続率の状況を認めることができる。
図21 第1子出産前職種別就業継続率
最も高い継続率(出産後も続けたとした者の割合)を示したのは、農林漁業の74.1
%である。農林漁業以外の自営業についても継続率は高く7割近い。一方、最も低い
継続率を示した職種は事務職(19.5%)であり、販売職も事務職についで低い(27.6%
)。専門職については3分の1近くしか継続する者はおらず、近年の若年女性の高学歴
化に伴う専門職従事者の増加は、必ずしも就業継続とは直接的に結びついていない状
況が明らかになった。職種間の継続率についてみると、事務職が自営・家族従業者(
農業含む)の割合の約4分の1であり、職種間では最も大きな差を示している。
図22 学歴別就業継続者の割合
学歴別にみてみると、高学歴取得者が必ずしも就業を継続している傾向はみられず
、逆に義務教育修了者での継続率が高い(43.5%)。このことは、年齢階級別に異な
る従業上の地位や職種の影響と考えられ、高齢者ほど農業や自営業の割合が高いこと
が反映されている。短大を卒業した者の継続率が最も低く、20.9%であり、大卒者は
高卒者や短大卒者に比べて多少高い就業継続率を示すものの、その割合は4分の1強に
すぎない。高学歴化が女性の就業継続を必ずしも促していない状況を認めることがで
きる。
図23 従業先規模別就業継続状況
企業規模別に就業継続の状況をみてみると、最も高い継続率を示したのは官公庁の
50.4%である。公務員であることは、就業を継続する上に有利に作用している。一方
最も低い継続率を示したのは、1,000人以上の大規模企業である(13.7%)。このとこ
ろファミリーフレンドリーな企業をめざして女性が働きつづけるための福利厚生を充
実していこうという動きがあるものの、調査時点では、女性が仕事を持ち働き続ける
にあたって、大企業が好い環境とはいいがたい。大企業に勤めていたものの多くは今
なお出産を機にやめていくものが少なくない。10人未満の零細企業は比較的高い継続
率を示しているが、小規模で働くことが必ずしも就業を継続する上に不利にはなって
いないようである。しかし、この比較的高い継続率が企業側によるのか、働く者の側
にあるのか(経済的に仕事を辞めることができないなど)はこれから検討の余地が多
く残されている。
図24 親との同別居別就業継続状況
しかし、この母親の就業継続は世帯の状況とも関連している。妻の親と同居する者
の継続率がもっとも高く40.1%、ついで夫の親と同居する者の37.4%である。別居につ
いては継続率が著しく低下し、2割弱の者しか出産後も仕事を継続していない。
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