3.仮定の解説
(5) 将来推計人口の描く日本人のライフコース
2) 女性世代の結婚・出生に関するライフコース e) コーホート別にみた女性の生存期間(平均寿命)の内訳
図3-25によれば、女性の生涯にしめる未婚期間ならびに無子期間が、後の世代ほど増大して行く様子がわかる。そして、子どもを1人でも持ち、共に生きる期間は、1955年世代の51.7年、61%から、1990年世代の38.1年、42%に縮小する。こうした数値からも、今後わが国が経験する結婚や家族というものの変容の実相がうかがえる。
ここで行ったように初婚率、出生率、死亡率などの動態率に関する将来人口推計の仮定値から、人々のライフコース像を描き出して示すことは、仮定値の意味をより鮮明に示し、一般における推計への理解に役立つと期待される。
とりわけ、ここでは年次的に推移する出生率の仮定値(ほぼ横ばいである)からは、読み取ることの難しい厳しい想定が仮定値の背後に存在していることが明らかとなっているだろう。
急速な人口減少、人口高齢化として知られるマクロ的変化の深層で、人々のライフコースの歴史的な変容が同時に進行していることは十分に理解しておかなくてはならない。
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