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国立社会保障・人口問題研究所

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第V部 独身者・夫婦調査共通項目の結果概要:第1章 子どもについての考え方

<U-4.子育ての状況 V-2.生活経験と交際・結婚・出生>



V-1.子どもについての考え方
1.未婚者の希望子ども数と男女児組み合わせ

未婚者の希望子ども数、男女とも低下
 結婚意思のある未婚者が希望する子ども数の平均値は、第12回調査(2002 年)以降、未婚女 性で反転上昇していたが、今回は2.02人と前回(2.12人)から0.1人低下した。未婚男性につい ては、第8回調査(1982 年)以降、おおむね低下傾向にあり、今回は初めて2人を切り1.91人と なった。

図表V-1-1 調査・年齢別にみた、未婚者の平均希望子ども数

 希望子ども数の分布をみると、未婚男女とも「2人」とする割合が6 割強と最も多い。未婚者 は、子どもを持つことが結婚している夫婦よりもまだ現実的でない場合が多いため、「2人」と いう社会規範的な子ども数に回答が集まりがちである。また、未婚男女とも「0人」「1人」の増 加と「3人以上」の低下傾向がみられる。とくに未婚男性では、0・1人の合計割合が17.3%とな り、3人以上の割合を超えた。

図表V-1-2 調査別にみた、未婚者の希望子ども数の分布


未婚女性では女の子を多く望む傾向が継続している
 結婚意思のある未婚者が希望する子ども数における男女児の構成は、かつて男女とも男の子を より多く望む傾向にあったが、第11回調査(1997 年)以降、女性では女の子を望む割合が半数 を超えている。一方、男性では、第12回調査(2002 年)以降は男の子をわずかに多く希望する 水準で変化が止まっており、近年の未婚男女はそれぞれ同性の子どもをより多く望む傾向にあ る。

図表V-1-3 調査別にみた、未婚者の希望男女児数の総和の構成


図表V-1-4 調査別にみた、未婚者の希望子ども数別子どもの性別組み合わせ


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2.夫婦の理想子ども数・予定子ども数と男女児組み合わせ

夫婦の理想子ども数、予定子ども数とも過去最低に
 夫婦にたずねた理想的な子どもの数(理想子ども数)の平均値は、前回調査より0.1人低下し、 これまででもっとも低い2.32人となった。夫婦が実際に持つつもりの子どもの数(予定子ども 数)の平均値も前回調査に引き続き低下し、2.01人と過去最低になった。


図表V-1-5 調査・結婚持続期間別にみた、夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数


図表V-1-6 調査別にみた、夫婦の平均理想子ども数と平均予定子ども数の推移

 夫婦の理想・予定子ども数の分布をみると、理想子ども数では「2人」の割合が増えて、初め て総数で5 割を超えた。一方、「3人以上」は4 割弱まで減少している。予定子ども数では、第12 回(2002 年)調査以降、「1人」の割合が上昇しており、今回調査では14.7%となった。「0人」 も微増しており、0・1人の合計割合は19.9%とほぼ2 割を占めるまでになった。

図表V-1-7 調査別にみた、夫婦の理想子ども数、予定子ども数の分布


夫婦の女児選好の傾向は変わらず
 夫婦が理想とする子ども数の男女児の内訳については、女児選好の傾向が定着し、第11回調 査(1997 年)以降、理想子ども数性比(図中の( )内の数値)は85〜89 の間で横ばいに推移 している。具体的な男女児組合せでは、理想子ども数2人における「男女児1人ずつ」の割合が 継続して上昇傾向にあり、今回調査では90.9%となった

図表V-1-8 調査別にみた、夫婦の理想男女児数の総和の構成


図表V-1-9 調査別にみた、夫婦の理想子ども数別子どもの性別組み合わせ


夫婦の理想・予定子ども数は未婚者の希望子ども数より高い傾向
 「いずれ結婚するつもり」と回答した未婚男女の平均希望子ども数と、初婚どうし夫婦の平均 理想・予定子ども数を年齢別(夫婦は妻の年齢別)に比較してみると、全年齢層を通じて夫婦の 指標のほうが未婚男女の指標より高い。また、夫婦の理想子ども数と未婚男性の希望子ども数は 年齢による差が大きくないが、夫婦の予定子ども数と未婚女性の希望子ども数は35〜39歳を境 に低下し、40歳以降ではとりわけ未婚女性の低下が大きい。

図表V-1-10 調査時の年齢別にみた、未婚者の平均希望子ども数および 夫婦の平均理想・予定子ども数:第15回調査(2015 年)


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3.子どもを持つ理由

子どもを持つ理由は、未婚者・夫婦とも「生活が楽しく豊かになるから」
 希望子ども数を1人以上と回答した未婚者に、なぜ子どもを持ちたいのかたずねたところ、男 女とも「子どもがいると生活が楽しく豊かになるから」という回答の選択率がもっとも高かっ た。2 番目に多かったのは、未婚男性では「結婚して子どもを持つことは自然」、未婚女性では 「好きな人の子どもを持ちたい」であり、男女で回答に差がみられる。

図表V-1-11 年齢別にみた、未婚者の子どもを持つ理由:第15回調査(2015 年)


 同様に、理想的な子どもの数を1人以上と回答した夫婦に、なぜ子どもを持ちたいのかたずね たところ、もっとも多かったのは未婚者と同じく「子どもがいると生活が楽しく豊かになるか ら」であった。次いで多いのは「結婚して子どもを持つことは自然なことだから」であり、妻の 年齢が高い夫婦ほど選択率が高かった。3 番目に多い「好きな人の子どもを持ちたいから」では、 逆に妻の年齢が若い層ほど選択率が高かった。

図表V-1-12 妻の年齢別にみた、夫婦の子どもを持つ理由:第15回調査(2015 年)

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4.夫婦が理想の子ども数を持たない理由

夫婦の予定子ども数が理想子ども数を下回る背景、若い層で顕著な経済的理由
 夫婦の予定子ども数が理想子ども数を下回る理由としてもっとも多いのは、いぜんとして「子育てや教育にお金がかかりすぎる」(総数56.3%)であり、とくに妻の年齢35歳未満の若い層では8割前後の高い選択率となっている。また、30歳代では「自分の仕事に差し支える」、「これ以上、育児の心理的・肉体的負担に耐えられない」という回答が他の年齢層に比べて多い。

図表V-1-13 妻の年齢別にみた、理想の子ども数を持たない理由:
第15回調査(2015 年)(予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦)


理想子ども数3人以上を実現できないのは、おもに経済的理由
 理想は1人以上だが予定子ども数が0人という夫婦では、その差の理由として「欲しいけれどもできない」の選択率が74.0%となっている。理想を3人以上としている夫婦では、理想通りの子ども数を持たない理由として「お金がかかりすぎる」を挙げる割合がもっとも高い。次いで、「高年齢で生むのはいや」、育児負担、「仕事に差し支える」、「家が狭い」等の理由を挙げる割合が高い。

図表V-1-14 理想・予定子ども数の組み合わせ別にみた、理想の子ども数を持たない理由:
第15回調査(2015 年)(予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦)


予定子ども数を実現できない場合の理由は、「年齢・健康上の理由」が最多
 平均予定子ども数は2人を超えた水準にあるものの、実際の出生過程をみるとそれを実現できるペースより低い状態となっている。この要因を探るため、今後1人以上の追加の子どもを持つつもりの夫婦に、その実現可能性の高さと、予定の子ども数を実現できないとしたときに考えられる理由についてたずねた。
 「持つつもりの子ども数を実現できない可能性は低い」と考える夫婦の割合は前回調査より低下し、総数で12.4%(第14回13.8%)となった。予定子ども数を実現できない可能性について、その理由をみると、「年齢や健康上の理由で子どもができないこと」が53.4%でもっとも選択率が高い。どの年齢層でも前回調査より選択率が10%ポイント以上大きくなっており、全体として不妊リスクを意識する夫婦が多くなっている。これに次いで多い理由は「収入が不安定なこと」であり、若い層ほどこの理由を挙げる割合が高くなっている。

図表V-1-15 妻の年齢別にみた、予定子ども数を実現できない可能性:
第15 回調査(2015 年)(追加予定子ども数が1人以上の夫婦)


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5.子どもに受けさせたい教育の程度

未婚女性は未婚男性よりも子どもに受けさせたい教育の程度が高い傾向
 未婚男女に(自分の)子どもにどの程度の教育を受けさせたいかをたずねたところ、対象となる子どもの性別にかかわらず「大学」がもっとも多かった。
 総じて未婚女性は未婚男性より子どもに高い教育を望む傾向がみられるが、とくに25〜29歳では「男の子」に「大学以上(大学院・大学)」の教育を望む割合が83.1%、「女の子」には71.7%と未婚男性との差が大きい(25〜29歳の未婚男性が子どもに「大学以上(大学院・大学)」の教育を望む割合は、「男の子」72.6%、「女の子」63.6%)。

図表V-1-16 年齢別にみた、未婚者が男の子および女の子に受けさせたい教育の程度:第15回調査(2015年)


夫婦が子どもに受けさせたい教育の程度は、子どもの性別にかかわらず「大学」が最多
 夫婦に(自分の)子どもにどの程度の教育を受けさせたいかをたずねたところ、対象となる子どもの性別にかかわらず「大学」がもっとも多く(「男の子」71.5%、「女の子」57.3%)、高校卒業後もさらに教育を受けさせたいと考える夫婦が8 割にのぼる。
 妻の年齢別では、30歳代において、「女の子」に「大学以上」の教育を受けさせたい割合がやや高く、「大学院」「大学」を合わせて6 割を超えている(60.8%)。


第10回調査(1992年)と比べ「女の子」に「大学以上」の教育を受けさせたい夫婦の割合が増加
 「女の子」に受けさせたい教育の程度は、第10回調査(1992年)では「短大・高専」がもっとも多かったのに対し(38.5%)、第15回調査(2015年)では「大学以上(大学院・大学)」が増え(59.2%)、「短大・高専」(10.6%)を上回っている。
 一方、「男の子」に「大学以上(大学院・大学)」の教育を受けさせたい割合は76.4%と第10回調査(73.9%)から大きな変化はみられない。

図表V-1-17 妻の年齢別にみた、夫婦が男の子および女の子に受けさせたい教育の程度:第15回調査(2015年)


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