4.老親に関する規範意識

  • どの年齢層の妻も、息子夫婦と暮すこと、を支持する割合が10ポイント以上低下
     「年をとった親は、息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」という規範に対して、前回と共通の設問のなかで、最も否定的な意見が増加した。全体では、支持する割合が11.1ポイント低下し、抵抗感が強まっている。「賛成」派が6割と優勢であった前回に比べ、今回はほぼ拮抗した状態である。妻の年齢別には、20歳、30歳、40歳代では賛成派と反対派が逆転している。どの世代でも支持する割合が10ポイント以上低下しているが、とくに、40歳代では13.5ポイントも低下している。この結果は、親世代にとっても息子夫婦と暮らすことがよい、とは思わない人が増え、若い世代の妻は、将来のことを考えて、現実問題として自分たちが一緒に住むことには反対だとの考えが強まった結果といえる。40歳代で低下の幅が最も大きかったのは、最も現実に近く切実なためではないかと思われる。


  • 非人口集中地区、親と同居の妻でも息子夫婦と暮らしたい、は低下している
     その他の要因をみると、人口集中地区よりも非人口集中地区の方で「賛成」が多くなっている。しかし、いずれの地域でも10ポイント前後も否定派が増加し、都市的地域では支持派と否定派が逆転している。また、親との居住関係別にも同居別居とも、やはり1割前後低下し、別居者の場合、支持しない者の方が過半数を上回っている。
表32 妻の年齢、同別居、居住地区別「年をとった親は息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」への賛否
妻の年齢、同別居、居住地区別「年をとった親は息子夫婦と一緒に暮らすのがよい」への賛否


     農村的地域や、現在親と同居関係にあるケースでも、「息子夫婦と一緒に住む」ことに対し否定的態度がかなり増加し、抵抗感が強まっている。しかし、今回、新たに加えた「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」という表現で設問したところ、かなり異なる回答となっている。全体では4分の3がこれを支持している。20歳代で最も高く、40歳代で低くなっているが、この回答分布をみるかぎり家族が中心となった老親の介護そのものが否定されたわけではなさそうである。
表33 妻の年齢別「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」への賛否(第2回のみ)
妻の年齢別「年老いた親の介護は家族が担うべきだ」への賛否(第2回のみ)


  • 高齢の妻ほど家族による経済的負担を望む
     最後に、高齢者の経済的負担を誰が負うべきかについて尋ねてみた結果を比較している。もっとも顕著な差異があらわれたのは妻の年齢で、年齢が高くなるにつれ「反対」が減少している。ここでも20歳代の妻が、30歳40歳代の妻よりも家族による援助を支持している。5年前とほぼ同様の結果となっている。
表34 妻の年齢別「高齢者への経済的な援助は、公的機関より家族が行うべきだ」への賛否
妻の年齢別「高齢者への経済的な援助は、公的機関より家族が行うべきだ」への賛否



目次へ戻る 前へ戻る