2.夫の家事参加の実態と変化

  • 夫の家事参加は多少増加、しかし、中年を底に浅いU字型の傾向は継続
     夫が、6つの家事関連項目(「ゴミ出し」、「日常の買い物」、「掃除」、「洗濯」、「炊事」および今回「風呂洗い」を加えている)について、「週1-2回」以上遂行している者の割合をみている。前回との共通項目についての比較では、週1-2回の遂行が4割を越える種目はないものの、いずれの項目も行動率を上昇させている。日常の買い物やゴミ出しといった軽微な内容のもので増加幅が大きく、掃除、洗濯、炊事などの本来の家事領域ではわずかな伸びである。これらの項目では、あいかわらず、また今回新たに加えた「風呂洗い」でも、「週1-2回」の余数である「月1〜2回」「やったことがない」を合わせると7〜8割を占めている。
図12 夫の家事遂行割合(週1〜2回以上)
夫の家事遂行割合(週1〜2回以上)


     さらに、家事全体の夫の遂行実態を、家事領域別に尺度化し、この得点のトータルを妻の年齢別に前回と比較してみると、やはり、どの年齢階級でも、わずかながら得点を上昇させている。40,60歳代でほかの年齢層に比べ前回との乖離幅がわずかに大きいが、40代が最も低得点であり、年齢別には40歳代の妻の夫を底にした浅いU字型を表すような割合になっていることは前回と同様である。この世代の妻の夫が、社会的地位の変化とともに、家庭より仕事の方に重きをおくことになることも要因であろう。60歳代で家事遂行率が高いのは、退職かそれに近づきゆとりが生じ、家庭へ回帰したことも理由であろう。また、この世代では、家事を「遂行する/しない」に分化する傾向がみられ、これは夫や妻の身体的状況が影響していることも考えられる。
図13 妻の年齢別夫の家事合計得点
妻の年齢別夫の家事合計得点



  • 親と同居している夫は、家事参加が低い
     夫の家事遂行の程度を、いくつかの属性別に検討している。  まず、末子の年齢別にみると、前回は、「ゴミ出し」、「日常の買い物」では、子どもの年齢が低いほど遂行割合が高く、「洗濯」、「炊事」では、1歳未満の子がいる場合を除いて、末子の年齢による差は小さかったが、今回は、概ね末子12歳までくらいは、子どもが小さいほど家事を行っている割合が高くなっている。

     つぎに、親との同別居状態別にみると、親と同居している夫のほうが家事への参加度は低くなっている。この傾向は、5項目すべての家事項目に共通して見受けられ、親と別居の方が夫の家事参加割合が高い。この傾向は今回も同様である。これは親との同居によって本来夫が分担すべき家事役割の機能を親が代行している可能性が高いことをうかがわせる。そのことが、一方で夫の家事への参加を妨げていることも考えられる。

     妻の就業状態別では、「買い物」を除くどの家事項目も就業している妻をもつ夫の方が非就業の妻の夫よりも家事協力割合が高かったが今回もこの傾向は同じである。なかでも妻が常勤で働いている場合が高くなっている。夫の帰宅時間別にみると、時間によって多少ではあるが、家事参加には差異が生じている。今回8時以前の帰宅ではどの項目も、それ以降の時間帯の帰宅よりも家事を遂行する頻度が高くなっている。しかし、「部屋の掃除」、「洗濯」、および「炊事」など基本的な項目では、「週1〜2回」程度以上行う割合の余数として得られる「ほとんど家事に参加しない」夫の割合が8割以上もあり、これは今回も同様で夫があまり家事役割を分担していない実態が改めて確認された。
表12 属性別にみた夫の家事遂行割合
属性別にみた夫の家事遂行割合



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