3.仮定の解説

(5) 将来推計人口の描く日本人のライフコース

2) 女性世代の結婚・出生に関するライフコース
 d) コーホート別にみた女性の未既婚・子供数の生存期間

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 つぎに、出生・死亡仮定から作成された多相生命表によって、女性の結婚・出生に関わる状態の生存期間の構成を見たい(表3-5、図3-25)。これは、平均寿命で表される各世代の生存期間のうち、未婚期間、子どものいない期間などの内訳を表すもので、いわば人生の使い方を知ることができる。これによると、すでに50歳に達している1950年、55年生まれコーホートでは、当時の乳幼児期の死亡率の高さを反映して平均寿命はそれぞれ80.8年、84.2年と後続世代に比べ、かなり短くなっている。この中で未婚期間はそれぞれ25.3年、27.2年であった。したがって、未婚期間の平均寿命に占める割合は31%、32%と人生の1/3弱を占めていた。その後のコーホートでは、平均寿命は1990年生まれ世代の89.8年まで順次伸長し、同世代で未婚期間は42.5年、その寿命に占める割合は47%と半分弱までに増大している(注)。

 これらの数値は、個人のライフコースというより、各世代の集団としてのライフコースとみる方が適切であろう。すなわち、1990年生まれの女性世代は、生涯に結婚する人もしない人も含んでいるが、世代全員の生きる人生を総合すると、その47%を未婚として過ごすことを示している。同様に、子どもを持たない期間の平均は51.7年で、この女性世代の人生の58%は子どもを持たずに過ごす。

(注) ただし、ここでも50歳以降は結婚も出生も起こらないとして扱っている。

はじめに / 1 基本的性質と見方 / 2 推計結果 の解説 / 3 仮定の解説 / 
参考推 計(条件付推計) / 将来人口推計[報告書]