4.未婚者の生活と意識
− 若者たちを取り巻く状況と意識 −



(1)就業・親との同別居



  • パート・派遣として働く割合が増加
     未婚者の就業の状況を調べた。今回の調査では就業している割合は18〜24歳男性で45.2%、女性で51.8%、25〜34歳男性で83.2%、女性で83.9%であった。いずれの年齢層においてもパートや派遣として働く割合が上昇しており、正規の職員である割合は1990年代に比べ、男女とも大きく低下している。18〜24歳では、女性を中心に学生の割合が高まっていることもこれに寄与している。




  • 未婚者の親との同居率は横這い
     親と同居している割合は、男性は70%前後、女性は75%前後で推移している。またパート・アルバイト、無職・家事の場合に、同居率が高い傾向にある。




(2)未婚者のライフスタイル



  • 交友が減り、仕事で私生活を犠牲にする人が増加、ただし女性では趣味・ライフワークを持つ人が増加
     未婚者の人付き合い、消費、仕事、生きがいの実態について調べた。「衣服・持ち物にこだわる」「仕事以外で旅行あり」の割合は女性で高く(それぞれ62.9%、33.9%)、「一人の生活を続けても寂しくない」と考える割合は男性で高い(41.5%)(図4-2)。同項目を調べた第11回調査(1997年)と比較すると、男女ともに「遊べる友人が多い」が6〜7ポイント減少し、「仕事で私生活を犠牲」が4〜6ポイント増加した。また女性では「趣味・ライフワークあり」が11ポイント上昇し56.3%となった。  結婚の意思別に比較すると、結婚意欲が強い人の方が生活全般に対して積極的である傾向がみられる(図4-3)。ただし趣味・ライフワークについては、女性では結婚意欲が弱いほど持っている割合が高く、男性とは反対の傾向となっている。




(3)結婚・家族に関する意識



  • 「男らしさ女らしさは必要」、「結婚しても自分の目標を」
     結婚、家族、男女関係などに関する未婚者の考え方を11項目にわたって調べた。男女双方の8割以上が「C男らしさや女らしさが必要」「B婚前の性交渉はかまわない」「D結婚しても自分の目標を持つべき」という考えを支持している。「G子どもは持つべき」「H幼子の母親は家にいるべき」という考えは7割以上の支持を得、「I性格の不一致くらいで別れるべきでない」「A同棲より結婚すべき」という意見は、男性7割台、女性6割台、「@生涯独身でいるのはよくない」は、男性6割強、女性6割弱、「E結婚に犠牲は当然」は男性6割弱、女性4割強に支持されている。男女とも支持が半数に満たないのは「F夫は仕事、妻は家庭」「J結婚せずに子ども持ってよい」(3割台)である。全般的に男性の方が一般に伝統的と見なされている考え方を支持している割合が高い。特に違いが大きいのは、順に「E結婚に犠牲当然」「I離婚避けるべき」「G子どもは持つべき」などである。




  • 結婚・家族離れの傾向に変化
     意識の調査を始めた第10回調査(1992年)からの変化をみると、当初はどの項目についても一般に伝統的と見なされている考え方から離れていく傾向がみられたが、2000年代以降は項目によって変化の方向に違いが生じている。「H幼子の母親は家にいるべき」では、男女ともに変化が継続しているが、「B婚前の性交渉はかまわない」「D結婚しても自分の目標を持つべき」「G子どもは持つべき」では変化に歯止めがかかっている。「F夫は仕事、妻は家庭」については、男性では支持の下げ止まりがみられ、女性では今回調査で反転した。
     1990年代の傾向が明らかに反転した項目は、「I離婚避けるべき」「@生涯独身でいるのはよくない」「A同棲より結婚すべき」である(いずれも2002年に反転)。その他「E結婚に犠牲は当然」についても、伝統的な考えへの支持が増えている。なお、こうしたパターンは夫婦調査における同年齢層の妻の結果でも、やや反転時期が遅れるかたちで確認できる。




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