2.夫婦の出生力



(1)完結出生児数(夫婦の最終的な出生子ども数)



  • 夫婦の完結出生児数が、はじめて2人を下回る
     本調査において夫婦の完結出生児数とは、結婚持続期間(結婚からの経過期間)15〜19年夫婦の平均出生子ども数であり、夫婦の最終的な平均出生子ども数とみなされる。
      夫婦の完結出生児数は、戦後大きく低下し、第6回調査(1972年)で 2.20人となった後は、第12回調査(2002年)の2.23人まで30年間にわたって一定水準で安定していた。しかし、前回調査(2005年)で2.09人へと減少し、今回の調査ではさらに1.96人へと低下した。なお、今回対象となった結婚持続期間15〜19年の夫婦とは、1990年代前半に結婚した層である。





  • 出生子ども数2人未満の夫婦が増加
     第7回調査(1977年)以降、半数を超える夫婦が2人の子どもを生んでおり、今回も同様であった。しかし、子どもを生まなかった夫婦、および子ども1人(ひとりっ子)の夫婦が前回に引き続き増え、これらを合わせると今回はじめて2人未満が2割を超えた。逆に3人以上の子どもを生んだ夫婦は減っており、出生子ども数3人の割合は2割を下回った。



(2)出生過程の子ども数(結婚持続期間別にみた出生子ども数)



  • すべての結婚持続期間において夫婦の出生子ども数が減少
     結婚持続期間別に平均出生子ども数をみると、すべての期間で減少がみられた。過去2回の調査で上昇傾向にあった0〜4年の夫婦の子ども数も今回は減少した。これら過去の調査における結婚持続期間0〜4年夫婦の子ども数の増加は、5年経過した同5〜9年夫婦の子ども数の増加には結びついていない。


  • 結婚年齢が高くなると出生子ども数は減少
     平均出生子ども数は夫妻の結婚年齢が高いほど少ない傾向がある。たとえば結婚持続期間15〜19年でみると、妻の結婚年齢が20〜24歳の夫婦では平均出生子ども数が2.08人であるのに対し、25〜29歳では1.92人、30〜34歳では1.50人となっている。したがって、結婚年齢の上昇(晩婚化)は、夫婦の平均出生子ども数を低下させる効果を持つ。





(3)夫婦の出生率の動向(合計結婚出生率)



  • 夫婦の出生率は低下傾向にあったが、過去5年間はやや回復を示す
     夫婦の出生率(合計結婚出生率)は戦後60年代までに大きく低下し、いわゆる少産化を引き起こした。その後1966年の丙午(ひのえうま)の変動を挟んで70年代前半にやや増加したが、半ばには急落し、一旦2.1前後に落ち着いた。80年代後半から再び低下傾向となり90年代以降は2.0を下回り2005年前後に最も低くなった。しかし、その後はわずかながら回復の傾向を示している。



  • 合計結婚出生率
     観察対象となる年次における夫婦の子どもの生み方を表す指標で、有配偶女性の結婚持続期間別出生率を合計することによって得られる。その値は一夫婦がその全出生過程を通して当該の結婚持続期間別出生率に従って子どもを生んだ場合に実現される完結出生児数を示す。ただし、夫婦の子どもの生み方(ペース)が複数年次にわたって変化しているときには、ある年次の結婚持続期間別出生率は実際の出生過程と大きく異なることがあるので、本指標の値の解釈には注意を要する。

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