V.希望の結婚像
−どんな結婚を求めているのか−
1.希望する結婚年齢
希望する結婚年齢は男女とも上昇、意識の上でも晩婚化が継続
未婚者が結婚したいと思う年齢は、本人の年齢が上がるとともに高くなるが、同じ年齢層で比較した場合、主な年齢において最近の調査ほどわずかずつ希望結婚年齢が上昇する傾向が見られ、未婚者の意識においても「晩婚化」が続いていると言える。
現在から希望する結婚年齢までの期間は男女とも延長傾向
調査時点から希望結婚年齢までの年数(結婚までの希望待ち年数)は、本人の年齢が上がるとともに短くなるが、同じ年齢層で比較した場合、男女とも主な年齢で希望待ち年数が長くなっており、ここでも未婚者の間で結婚を先延ばしする意識が継続していることが捉えられている。
結婚相手に希望する年齢は男性で上昇、結婚相手との年齢差は意識の上でも縮小傾向
結婚相手に希望する年齢は本人の年齢が上がるとともに高まるが、同じ年齢層で比較した場合、男性では最近の調査ほど相手に高い年齢を望むようになっている。一方、女性では相手に望む年齢にはほとんど変化がないか、30歳以上ではむしろ若い相手を望むようになっている(図V-1-3)。その結果、男女とも希望する年齢差は縮小しており、実際、男性が年上となる結婚希望が減り、同い年の相手を希望する割合が増えている(図V-1-4)。このことは人口動態統計、および本調査−夫婦調査で明らかとなっている男女の結婚年齢差の縮小が、未婚者の希望に沿ったものであることを示している。
2.結婚相手の条件
相手の「家事・育児への姿勢」「仕事への理解と協力」を重視する女性が増える
結婚相手の条件として重視する項目は、男女とも相手の「人柄」「家事・育児に対する能力や姿勢」「自分の仕事に対する理解と協力」の順となっている。ついで女性では相手の「経済力」「共通の趣味」「職業」、男性では「共通の趣味」「容姿」を重視している。女性では結婚相手の条件として多くの項目を重視ないし考慮しているのに対し、男性では相手の学歴、職業、経済力を重視する人は少なく、考慮する人も4割以下にとどまっている。また、男女とも「学歴」を重視ないし考慮する割合が一貫して低下する一方で、「家事・育児に対する能力や姿勢」を重視する割合が上昇した。また、女性では「仕事に対する理解と協力」を相手の条件として重視する割合も増えている。
描くライフコースによって異なる結婚相手の条件
女性に専業主婦を望む男性では結婚相手の条件として「家事・育児に対する能力や姿勢」を重視する割合が高く、仕事と家事・育児の両立を理想とする女性では結婚相手に「仕事に対する理解と協力」を望む割合が高い。また、子どもを多く持ちたい女性ほど相手に「経済力」よりも「家事・育児に対する能力や姿勢」「仕事に対する理解と協力」を求めている。
3.希望するライフコース
未婚女性の専業主婦願望は後退、実際になりそうなコースでも「両立」が逆転
未婚女性が理想とするライフコース(理想のライフコース)と実際になりそうなライフコース(予定のライフコース)では、ともに「専業主婦」コースの割合が減っている。代わって理想コースでは、子育て後の「再就職」コース、仕事と家事・育児の「両立」コースが、予定コースでも「両立」コースがともに増える傾向にある。予定コースでは「非婚就業」コースもやや増えて1割を超えた。また、男性が女性に期待するライフコースでも「専業主婦」が減り、「再就職」「両立」が増えている(図V-3-1)。
「専業主婦」コース以外では、理想のライフコースを実現できると考える女性が増えている
理想のライフコースを実現できると考えている(理想・予定ライフコースが一致する)未婚女性の割合は、「再就職」コースで最も高く、半数は実現すると考えている。一方、「両立」、「DINKS」、「非婚就業」の各コースでは、実現すると考える女性の割合が増加傾向にあるが、「専業主婦」を理想とする女性では実現すると考える女性は減少している(図V-3-2)。
4.希望する将来の同居スタイルス
最も多い理想像は30代には夫婦と子どもで暮らし、50代には夫婦のみで暮らすこと
18〜34歳の未婚男女に自分が30代および50代の頃に「一緒に暮らしたい人」をたずねたところ、30代では「配偶者」と「子ども」の組み合わせを選んだ人が最も多く(男性37%、女性46%)、ついで「配偶者のみ」で(男性22%、女性20%)、「三世代同居」は男性6%、女性5%であった。配偶者とは住まず「子ども」とだけ住みたいとする人も男女それぞれ5%いる。一方で「恋人」と住みたい人が男性10%、女性8%で、同居したい相手がいないとする人が男性15%、女性10%いる。
50代については「配偶者のみ」と暮らしたい人が増大し(男性43%、女性50%)、ついで「配偶者と子ども」(男女とも23%)、「三世代同居」(男性8%、女性6%)の順となっている。
自分の親とは近くに住みたい
自分の親とは同居でなく、近くに住みたいと考える人が多い。30代で「配偶者のみ」または「配偶者と子ども」と一緒に暮らしたいと考えるグループの「近くに住みたい人」は、「自分の親」が男性で半数強(56%)、女性では3/4(75%)でトップ、ついで「友人」(男性35%、女性46%)となっている。「配偶者の親」と近くに住みたいと思う人は男女とも19%で、女性では「きょうだい」の方が多い(24%)。50代の暮らしでも30代と概ね同様であるが、自分の親と近くに住みたい人は若干少ない。
5.希望子ども数
未婚男女の希望子ども数は減少傾向、しかし結婚意思のない女性の1/3は子どもを望む
「いずれ結婚するつもり」の未婚者が希望する子ども数は、男女とも「2人」が約6割を占めて最も多く、3人以上を希望する人は減っている(表V-5-1、図V-5-1)。その結果、平均希望子ども数は急速に減少しており、今回調査では男性2.05、女性2.03と、夫婦調査による夫婦の予定子ども数(2.13)を大きく下回った(図V-5-2)。また、今回「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者にも希望子ども数をたずねたところ、男性の30.6%、女性の35.3%が、子どもを(1人以上)持つことを望んでいることがわかった(表V-5-1)。
女の子を多く望む傾向が続いている
未婚者の希望する子どもの性別では、男女ともに女児を多く望む傾向が強まっている。男性ではいまだ男児の希望が女児を上回っているがその差はわずかであり、女性では前回調査以降女児の希望が男児を上回り、さらに増えている。
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