Ⅵ.結婚・家族に関する妻の意識
本調査では結婚、家族、あるいは男女の関係などに関する妻の意識について調べている(表Ⅵ-1-1)。
結婚や男女関係についての考え方が変化している
「生涯を独身で過ごすというのは、望ましい生き方ではない」「いったん結婚したら、性格の不一致くらいで別れるべきではない」といった項目では、今回調査でも約半数が支持(「まったく賛成」「どちらかといえば賛成」)しているものの、その割合は減少する傾向が見られ、結婚という形式に対する支持は揺らいでいるように見える。また、「男女が一緒に暮らすなら結婚すべきである」への支持が減り、「結婚前の男女でも愛情があるなら性交渉を持ってかまわない」という考えに対する支持が増えるなど、男女のパートナーシップのあり方についての態度にはっきりとした変化がうかがえる。
夫婦の伝統的な役割意識は弱まっているが、子育てへの母親役割意識はいぜん強い
「結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考えについては、調査ごとに否定派が増え、今回調査では約7 割(69.3 %)の妻が反対しており、伝統的な夫婦間の役割分業意識は弱まっている。他方で、「少なくとも子どもが小さいうちは、母親は仕事を持たずに家にいるのが望ましい」という考えを支持する妻は3/4(76.5 %)に達しており、前々回の調査より低下してはいるが、子育てにおける母親の役割に対する意識はいぜんとして高い。「結婚したら、子どもは持つべきだ」という考えも、低下傾向にはあるものの、いぜん3/4(73.6 %)の妻に支持されており、結婚している女性は、結婚というものを母親役割を担うことと結びつけて意識しているようである。
家族中心から個人を重視する生き方へ
「結婚しても、人生には結婚相手や家族とは別の自分だけの目標を持つべきである」という考えを支持する割合は8 割(81.9 %)に達しており、多くの妻が結婚後も家族だけに埋没せずに、自己目標を持った生き方を求めている。また「結婚したら、家庭のためには自分の個性や生き方を半分犠牲にするのは当然だ」という考えを支持する妻は4 割程度で、前回調査よりわずかながら増加したが、10 年前と比較すると低下傾向にあり、この考え方に反対する妻が過半数となっている。全体として家族中心の生き方に対して個人を重視する生き方への志向が強まっているようである。
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