X.子育ての状況
1 .妻の就業と出生力
結婚5 年未満で就業しながら子育てする妻は2 割以下
結婚前就業していた妻について、現在の就業状態と子どもの有無との関係を調べた。結婚5 年未満では就業している妻が45 %、専業主婦が54 %いるが、子を持ちながら就業するケースは全体の中で2割弱(18.1 %)、正規雇用に限ると約1 割(10.7 %)である。また、就業者に占める子を持つ割合(40 %)は、専業主婦の子を持つ割合(76 %)に比べて格段に低く、出産に際して就業を継続せず専業主婦となる就業者が多いことをうかがわせる。一方、結婚持続期間が長くなると、再就業する妻の割合は増加し、結婚後10 〜14 年では子を持つ就業者(56 %)が、子を持つ専業主婦(38 %)を上回る。
妻の就業経歴と平均出生子ども数
1 歳以上の子どもがいる夫婦について、最初の子どもの保育期間を含む妻の就業経歴とその後の出生子ども数との関係を見ると、都市的地域(人口集中地区)で妻が正規雇用を継続している場合、結婚持続期間5 年以降でわずかに少ない傾向があるものの、必ずしも明確な差は見られない。
2 .子育て支援制度・施設の利用
若い世代の正規雇用者で育児休業取得が増加、ただし勤め先の従業員規模で格差
1 歳以上の子どもを持つ出産経験者に、利用した子育て支援制度・施設をたずねたところ、「どれも利用しなかった」という人が半数以上を占めた(表X-2-1)。しかし、出産前後に正規雇用を継続している妻に限ると、ほとんどの場合で何らかの制度・施設を利用しており、とくに産休制度(88 %)、認可保育所(51 %)、育児休業制度(45 %)の利用が多かった。なかでも30 代前半より若い世代では、約7 割が育児休業を取得している。さらに勤め先の従業員規模別に見ると、大企業や官公庁勤務で育児休業を取得した者の割合が高く、認可保育所は官公庁で利用率が高い。従業員数1,000 人以上の大企業の正規雇用者は他に比べ無認可保育施設等の利用率が高い。また、育児休業制度の利用率の推移を、利用した子ども(第1 子)の出生年によって見ると(図X-2-1)、とくに妻が正規雇用者として就業している場合に高まっていることがわかる。
3 .夫妻の親の育児援助
夫妻の親の育児援助は妻の就業に影響する
結婚前就業していた妻の最初の子どもが1 歳時の就業状態は専業主婦が約7 割、就業者は27 %(うち正規雇用18 %)であるが、夫妻の母親からの育児援助がある場合、就業者は32 %(正規雇用23 %)、援助がない場合は20 %(10 %)となっており、親族の育児に対する援助が妻の就業行動に影響していることを示している。
夫妻の親の育児援助はその後の子どもの生み方に影響する
最初の子どもについて、夫妻の母親からの育児援助がある場合、その後の出生子ども数は援助がない場合に比べて多い傾向が見られる。その格差は妻が就業を継続している場合、とりわけ正規雇用を継続している場合の結婚後5 〜9 年の夫婦で顕著である。
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