都道府県の将来推計人口(平成14年3月推計)について


国立社会保障・人口問題研究所


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 都道府県別の詳細な結果表・仮定値表については下記よりダウンロードしてください。

名称(ファイル形式) 内容
結果表(MS-Excel) 都道府県別、男女5歳階級別推計人口
仮定値表 生残率(MS-Excel) 都道府県別、男女5歳階級別生残率仮定値
出生率(MS-Excel) 都道府県別、女子5歳階級別出生率仮定値
純移動率(MS-Excel) 都道府県別、男女5歳階級別純移動率仮定値



 国立社会保障・人口問題研究所では、平成14年1月に最新の国勢調査結果をふまえた「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」を発表した。この度、この新しい全国人口推計に基づいて新たに都道府県別人口の将来推計を行った。推計方法ならびに推計結果の概要は以下の通りである。


〔推計の枠組み〕

 推計の方法には前回同様、コーホート要因法を用いた。この方法は、ある年の男女・年齢別人口を基準として、ここに出生率や移動率などの仮定値をあてはめて将来人口を計算する方法である。具体的には、コーホート要因法による推計においては、(1)基準人口、(2)将来の出生率、(3)将来の生残率、(4)将来の純移動率、(5)将来の出生性比が必要となる。それぞれの概要は以下の通り。なお推計期間は平成12(2000)年〜平成42(2030)年まで5年ごとの30年間とした。

(1)基準人口

 平成12(2000)年10月1日現在、都道府県別、男女・年齢(5歳階級)別人口とする。

(2)将来の出生率

 本推計では、出生率の仮定値設定に際し、全国推計における出生率の変化を反映させるため、都道府県別、女子年齢別に全国値との相対的な格差を計算し、この相対的格差を本推計における仮定値設定に用いた。
 まず、都道府県別、女子年齢(5歳階級)別出生率の都道府県間格差の変化をみると、1980年以降、34歳以下の年齢層では格差はほぼ一定水準で推移している。一方35歳以上の年齢層においてはおおむね格差の縮小が続いている。そこで34歳以下の年齢層については、1995〜2000年における全国値との相対的格差が今後も一定であるとした。また35歳以上の年齢層については2010〜2015年までは格差の縮小が続き、その後は一定であるとした。

(3)将来の生残率

 本推計では、将来の都道府県別、男女・年齢別生残率について、出生率と同様に将来の全国推計値の動きにあわせた設定を行った。
 平均寿命の都道府県間格差の推移を1980年以降についてみると、男女とも縮小傾向にある。また男女・年齢別生残率の格差についてみても、一部の年齢階級の直近の変化についてはやや格差拡大の動きもみられるものの、1980年以降を通じた動きとしては各年齢階級とも格差はおおむね縮小傾向にある。そこで、すべての年齢階級について今後とも都道府県間格差は縮小すると仮定した。

(4)将来の純移動率

 各都道府県の男女・年齢別純移動率は、その時々の国全体あるいは各都道府県の経済状況の影響を受けるため、一定のパターンや規則性を見いだすことが難しい。これまでの男女・年齢別純移動率の推移をみるとおおむね減少傾向にあるととらえることができるが、上述のように純移動率については社会経済状況の変化に大きく影響を受ける可能性があるなど、今後の変化については予測が困難である。本推計では、1995〜2000年の男女・年齢別純移動率が一定のまま変化しないと仮定した。
 なお参考推計として、男女・年齢別純移動率の水準が次第に低下あるいは上昇すると仮定した場合の推計を行うこととし、具体的には(1)男女・年齢別純移動率の水準が2045〜2050年において1995〜2000年の2分の1となるよう直線的に減少する、(2)男女・年齢別純移動率の水準が2045〜2050年において1995〜2000年の1.5倍となるよう直線的に増加する、という2つのケースについて推計を行った。また封鎖人口(都道府県間の移動なし)を仮定した場合の推計も行った。

(5)将来の出生性比

 全国推計と同様、最近5年間の全国の実績に基づき、女子100に対して男子105.5とした。



〔推計結果の概要〕

1.総人口の推移

(1)人口減少県の数が増え、2020年代以降はほとんどの都道府県で人口が減少(図表1)

 2000年の国勢調査の結果によれば、1995年から2000年にかけて既に23道県で人口が減少している。今回の推計によれば、人口が減少する都道府県は今後も増加を続け、2005年から2010年にかけては36道府県、2015年から2020年にかけては滋賀県、沖縄県を除く45都道府県で人口が減少するようになる。以後2030年までほとんどの都道府県で人口減少が続く(なお、先に公表された全国推計(中位推計)によれば、わが国の総人口は4年後の2006年にはピークを迎え、以後長期の減少過程に入るとされる)。

図表1 都道府県別人口の増加率

(2)2030年時点で2000年に比べて人口が増えるのは、東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県の4都県のみ(図表2)

 2030年の人口を、2000年人口を100とした場合の人口指数でみると、指数が100を超える、すなわち2000年より人口が増加する都道府県は東京都、神奈川県、滋賀県、沖縄県の4都県のみであり、他の43道府県ではいずれも2030年の人口が2000年人口を下回る。また指数が90以下、すなわち人口が1割以上減少する都道府県は30道府県に達する。

図表2 都道府県別の人口指数

(3)今後も東京都と周辺県の人口シェアが増大(図表3)

 地域ブロック別にみると、2000年時点で全国人口に占める割合が最も大きかったのは南関東ブロック(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)で、26.3%であった。全国人口に占める南関東ブロックのシェアは今後も緩やかに上昇を続け、2030年には28.5%に達する。一方でその他の地域ブロックの占める割合は横ばいないしは減少となる。

図表3 全国人口に占める地域ブロック人口の割合

2.年齢別人口の推移

(1)年少人口割合はすべての都道府県で低下

 年少人口が各都道府県の総人口に占める割合をみると、2000年から2030年までの期間を通じて、すべての都道府県で低下する。2030年時点で、年少人口の割合が最も大きいのは沖縄県(15.8%)、最も小さいのは東京都(9.8%)である。

(2)生産年齢人口割合は全般的に減少傾向

 生産年齢人口が各都道府県の総人口に占める割合は、各都道府県とも当初は減少傾向にあるが、年少人口あるいは老年人口の減少に影響されるため、2020年から2030年にかけては、一部の都府県で生産年齢人口割合の上昇がみられる。2030年時点で、生産年齢人口の割合が最も大きいのは東京都(64.1%)、最も小さいのは秋田県(53.3%)である。

(3)老年人口は2020年まで全県で増加、以降は減少県も出現(図表4)

 今回の都道府県推計によれば、老年人口(65歳以上)は2020年まで全都道府県で増加する。しかし老年人口の増加率はおおむね縮小傾向にあり、2020年以降は老年人口の減少県が現れる。2020年から2025年にかけては19府県で老年人口が減少し、2025年から2030年にかけては老年人口減少県は32道府県に増加する。2030年の段階で老年人口数が多いのは、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県など大都市圏に属する都府県である。また増加率でみると、2000年から2030年にかけて老年人口が100%以上の増加(2倍以上)になるのは埼玉県と千葉県であり、そのほか神奈川県、愛知県、滋賀県、沖縄県についても75%以上の増加となる。

図表4 都道府県別老年人口の増加率

(4)2030年には35県で老年人口割合が3割を超える(図表5)

 老年人口が総人口に占める割合は、各都道府県とも今後一貫して増加する。2000年時点では老年人口割合が30%を超える都道府県は1つもないが、2015年には4県で30%を超える。そして2030年には35道県で老年人口割合が30%を超える。2030年に最も老年人口割合が大きいのは秋田県(36.2%)であり、最も小さいのは滋賀県(25.1%)である。

図表5 都道府県別老年人口の割合






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