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国立社会保障・人口問題研究所

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西村周三 所長就任挨拶

西村周三所長ポートレイト

所長 西村 周三 (Shuzo NISHIMURA, PhD)

このたび平成22(2010)年10月1日から当研究所の所長に就任しました西村周三と申します。
社会保障・人口問題研究所は、厚生労働省に設置された国立の政策研究機関であり、平成8(1996)年に、厚生省人口問題研究所と特殊法人社会保障研究所との統合によって設立されたものです。 私どもの研究所の使命は、文字通り社会保障と人口問題の政策研究を行うことにありますが、こういった研究が、日本において、また世界的に見ても、きわめて重要かつ喫緊の課題であることは、いまさら強調するまでもないことと存じます。

就任に当たり、各方面の皆様から、「緊急を要する、大変重要な仕事をすべき研究所」というご期待の言葉をいただき、所長として身の引き締まる思いでおります。現在の日本は、かつての高度成長期と異なり、経済的に厳しい状態が続くだけではなく、将来に希望を持ちにくい状況となっています。少子高齢化それ自体は、決してマイナスとは言えない社会の現象であると思われるにもかかわらず、あたかもこの現象自体が、日本の将来を危うくするといった風潮さえあります。

たしかに高齢化に伴う年金・医療・介護などの費用増、負担増は避けがたい問題であることは否定できませんが、より広い観点から日本が進むべき道を模索する研究を推進したいと考えています。また、年齢・ジェンダー・障がいの有無を問わず、あらゆる特性を持った人びとの労働への関わりを促す積極的労働政策も、現在の社会保障研究の重要な対象となっています。

人口の動向や世帯の動向を的確に捉える作業に対しても、各方面から強い期待が寄せられています。各種の政策形成の基礎となるデータの提供に当たるわけですから、その付託に応えるという責任感を新たに深めたいと存じます。

世界に視野を広げても、人口問題と社会保障の話題には事欠きません。アジア全体が老いていく中で、一歩先んじて超高齢化の進む日本の動向が関心の的となっています。こどもの貧困の問題は日本でも深刻ですが、世界に目を向ければ、いっそう大きな社会問題です。高齢化のかなり進展しているヨーロッパでは、経済の活性化と高齢化とをいかに両立させるかが大きな関心となっています。アメリカでは退職した世代の大部分の人びとが、かつてのように悠々自適とはいかなくなってきたといった声も聞こえてきます。

世界の人口と社会保障の動向を視野におきながら、日本での課題やその解決への模索を、世界に発信していくことも当研究所の重大な使命と考えています。言うまでもなく、こういった作業は、単純な情報提供だけではなく、その深層を理解した上でのものでなくてはなりません。このために、所員一同が、これまでにも増して各方面の方々と研究交流を深め、研鑽を重ねるよう鼓舞することも所長の責務と考えています。

皆様の絶大なるご支援とご鞭撻を心からお願いする次第です。