本セミナーは終了いたしました。
多数のご参加ありがとうございました。
※当日の資料は『プログラム』からPDF形式でみることができます。

※第16回厚生政策セミナー報告書をPDFファイルでこちらに掲載しました。

(2.8MB)

開催概要

会期:
2011年10月14日(金)10:00~16:30
会場:
女性就業支援センター
※駐車場は用意しておりませんので、お車での来場はご遠慮ください。
主催:
国立社会保障・人口問題研究所
言語:
日本語
定員:
230名
参加費:
入場無料・先着順

会場案内

女性就業支援センター

東京都港区芝5-35-3

  • JR線「田町駅」三田口(西口)から徒歩3分
  • 都営浅草線・都営三田線「三田駅」A1出口から徒歩1分

地図

※画像の上にカーソルを置くと拡大されます。

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セミナー開催の趣旨

1980年代に北西欧で人口置換水準を下回る低出生力が出現した際、「第二の人口転換」理論はこれを同棲・婚外出生・離婚・妻の就業・独居といった、家族主義から個人主義への価値変動を表す行動と結びつけて説明した。ところが1990年代に入ると、家族主義がより頑強な南欧・東欧・旧ソ連圏で、北西欧諸国がほとんど経験したことがないほどの低出生力が出現した。これによって急進的な家族変動と出生力の関係は逆転し、今や結婚制度が強固で伝統的性別役割分業が残存し家族主義の強い国の方で出生力が低いという逆説的なパターンになっている。

2000年代には出生力低下の先頭走者は東アジアに移り、韓国・台湾では1990年代の南欧・東欧・旧ソ連圏の記録をも下回るほどの低出生力に至った。2009年の合計出生率(TFR)は、韓国が1.15、台湾が1.03となっている。これは日本(1.35)はもちろん、1990年代に出生力低下の先頭に立っていたスペイン(1.40)、イタリア(1.41)、ハンガリー(1.33)、ポーランド(1.40)などをも大きく下回る水準である。

なぜこのような予想外の出生力低下がヨーロッパで、次いで東アジアで起こったのだろうか。ヨーロッパの低出生力はおおむね合計出生率1.2前後で反転し、現在ではほとんどの国が1.3以上の水準を回復したが、東アジアの出生力低下はどこまで進み、いつ反転するのだろうか。明らかにヨーロッパより激烈な東アジアの出生力低下には、どのような政治的・経済的・社会的・文化的要因が作用しているのだろうか。日本を含む東アジアの低出生力国は、この未曾有の変化にどのように対処しているのだろうか。こうした問題は人口学理論を再構成することはもちろん、わが国の少子化対策を考える上でもきわめて重要な課題である。

東アジアにおける低出生力の要因としては、とりわけ経済発展の後発走者としてあまりにも急激な変動が様々な部門で同時に進行したこと、すなわち変動の圧縮性が考えられる。韓国・台湾ともつい30年前には高出生力と人口爆発の恐怖に苦しんでいたことも、圧縮性のひとつの現れと言える。またヨーロッパとも日本とも異なる儒教的家族パターンの特性も考慮する必要があろう。韓国・台湾ともに政府は最近になって問題の深刻さを認識し、出生促進策を採択し実行に移している。その内容がどの程度有効で、出生力回復を早めることができるのかも検討する必要があるだろう。

今や出生力低下の先頭走者となった韓国・台湾における低出生力の要因と政策対応を分析し、その共通性と異質性を探り出して日本に対する示唆を見出すことは、われわれにとって緊急の課題である。一方でいち早く出生力低下を経験し、現在世界で最も高齢化した国である日本の動向は、東アジアのみならず世界が注目するところである。20世紀の経済的成功に続く新たな日本モデルを提示できるかどうかは、21世紀の日本に課せられた最大の課題のひとつと言えるだろう。

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東アジアの少子化のゆくえ 要因と政策対応の共通性と異質性を探る

基調講演者・パネリストの紹介

問題提起
鈴木  透
国立社会保障・人口問題研究所
人口構造研究部長
基調講演

松江 暁子
明治学院大学
社会福祉実習センター副手

伊藤 正一
関西学院大学
国際学部長・教授

パネリスト

小島  宏
早稲田大学
社会科学総合学術院 教授

永瀬 伸子
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科教授

相馬 直子
横浜国立大学大学院
国際社会科学研究科 准教授

司会

佐藤龍三郎
国立社会保障・人口問題研究所
国際関係部長

※プログラムはこちらよりご覧下さい