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当日の資料は「プログラム」からPDF形式で見ることができます。
第12回厚生政策セミナー報告書内容を、PDFファイルでこちらに掲載しました。(3.3MB)

会期 2007年12月12日(水)
会場 国連大学3階 ウ・タント国際会議場
主催 国立社会保障・人口問題研究所
後援 読売新聞社
言語 日本語及び英語(同時通訳有り)

セミナー開催の主旨

昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の新しい将来推計人口は、現在の少子化が続けば21世紀半ばに世界に類例をみない未曾有の人口高齢化と人口減少が避けられないことを示し人々に衝撃を与えた。すなわち同推計によれば、2005年から2055年にかけて、合計特殊出生率は1.21〜1.29の範囲で推移し(最終的には1.26)、総人口は1億2777万から8993万へと減少し、65歳以上の高齢者割合は20.2%から40.5%に上昇する見込である(死亡中位・出生中位推計)。その影響は国の社会経済システムの持続可能性のみならず、家族のかたちや個人の生き方にも及ぶことだろう。
 人口学的には少子化とは、長期的に合計特殊出生率が約2.1を下回る状態が持続することを意味し、現在ほとんどの先進国と一部の開発途上国が少子化の状態にある。しかし、今われわれが直面している問題はそこにとどまらず、近年イタリア、ドイツ、スペインなどヨーロッパ諸国に起こった合計特殊出生率が1.3以下の超低出生率(lowest-low fertility)がついに日本にも波及したことである。
 本セミナーにおいては、まず基調講演1として、 “lowest-low fertility” の語を広めた1人であるイタリア・ボッコーニ大学のフランチェスコ・ビラーリ教授に、「超少子化」がこれまでにない新しい現象であり、家族や社会のあり方に深く根ざしたものであることを報告していただく。グローバルな視点で日本の超少子化を見直すとき、その原因と人口学的意味についてより深い理解が得られるであろう。
 超少子化の原因論と並んで重要なのは対策つまり政策論である。基調講演2として、人口・家族に関する政策研究の第一人者であるオーストラリア国立大学のピーター・マクドナルド教授に先進諸国の少子化に対する取り組みのあり方について報告いただく。民主主義国において結婚や出産は個人のプライバシーや自己決定権に属することであり、この領域に政策が踏み込むことには大きな壁が存在している。そのような問題を踏まえた上で、実行可能でかつ有効な対策を打ち出すための示唆をいただく。
 以上の議論を踏まえた上で、超少子化国日本における政策課題について、家族と社会とりわけ働き方、若者、ジェンダーなどの視点にも詳しい3人のパネリスト、宮本みち子教授(放送大学教養学部)、大沢真知子教授(日本女子大学人間社会学部)、小畑洋一氏(読売新聞東京本社編集局社会保障部長)に加わっていただき、さらに議論を深める。
 先に示した国立社会保障・人口問題研究所の新人口推計によれば、日本は今後50年間「超少子化国」であり続けることになる。国民はこのことを変えることのできない「宿命」として受け入れるべきなのだろうか。それとも新しい道を見いだすことができるのだろうか。本セミナーを通じて、国際的視点から日本の超少子化を見つめ、働き方と家族や個人の生活との調和(ワーク・ライフ・バランス)が実現可能な社会の姿を展望してゆきたい。

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