1.結婚という選択
− 若者たちの結婚離れを探る −





(1) 結婚の意欲




(2)結婚の利点・独身の利点



  • 「結婚には利点がある」と考える未婚者がやや増える
     結婚することに利点があると感じている未婚男女はやや増えて、男性65.7%、未婚女性74.0%となった。逆に利点はないと考えているのは男性の28.6%、女性の21.5%である。一方、独身生活に利点があると考える人は男性83.8%、女性87.2%と、結婚に利点を感ずる割合よりかなり多く、こちらも今回やや増えた。



  • 年齢による結婚の利点の感じ方が一様になりつつある
     結婚の利点の感じ方は従来20歳代後半で多く意識されていたが、近年これが減少し、逆に若い層で増加が見られた結果、男女とも年齢による違いが少なくなっている(図1-4)。一方、独身生活の利点の感じ方はもともと年齢による差が小さく、また調査によっても変化が少ない(図1-5)。



  • 正規雇用者で高い結婚の利点
     結婚の利点の感じ方は就業の状態によっても異なり、とくに男性では差が大きい(図1-6)。正規雇用者の場合、利点を感じる人は70%前後で安定的に推移しており、40〜50%台の無職・家事等や非正規就業者(パート・アルバイト)から大きく隔たっている。女性では近年、利点の感じ方に就業の状況による差が明瞭となってきており、正規就業者、派遣・嘱託が最も高く、非正規就業者、無職・家事の順となっている。





  • 独身生活の最大の魅力は「行動や生き方が自由」であること
     独身生活の利点は、男女とも圧倒的に「行動や生き方が自由」を挙げる人が多い。それ以外では「金銭的に裕福」「家族を養う責任がなく、気楽」「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」などが比較的多い。これらのパターンは調査ごとにほとんど変化がない。すなわち未婚者は結婚すると行動や生き方、友人関係などが束縛され、家族扶養の精神的負担が加わると一貫して考えている。ただし、女性で広い友人関係が保てることを独身生活の利点とする人が漸減しており、この点に関する結婚の束縛感は緩んでいる。




(3) なぜ結婚しないのか?



  • 結婚をする積極的理由の欠如や、25歳を過ぎると適当な相手がいないことが制約
     未婚者に現在独身にとどまっている理由をたずねたところ、25歳未満の若い年齢層では「まだ若すぎる」「必要性を感じない」などの結婚の必然性の欠如や「仕事(学業)」「趣味や娯楽」などの競合するものの存在、さらには「自由や気楽さを失いたくない」など、結婚をする積極的理由の欠如を意味する項目が多く選ばれている。しかし、25歳以上になると「適当な相手にまだめぐり会わない」という理由を挙げる者が半数程度いる。ただ、この年齢に至っても「必要性を感じない」「自由や気楽さを失いたくない」を選ぶ者は多く、とくに後者は若い年齢層よりも多く選ばれている。今回調査では「適当な相手にめぐり合わない」、男性で「結婚資金が足りない」などがこれまでの減少傾向に反して増えるなど、全般にやや傾向が変わった一方で「仕事(学業)にうちこみたい」は若い年齢層を中心に着実に増えており、とりわけ女性で顕著である。




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