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国立社会保障・人口問題研究所

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 12 貧困・格差の実態と貧困対策の効果に関する研究(平成22〜24年度)

(1) 研究目的
 本研究プロジェクトは,貧困と格差が社会に及ぼす諸コスト(経済的及び社会的)についての理解を深め, 日本における貧困の実態を把握した上で,最低生活費の算定手法を検討し,試算を行う。さらに,近年構築 されつつある各種の対貧困プログラムの対費用効果についての分析フレームワークを構築するものである。

(2) 研究計画
 平成23年度は,大きく四つの研究事業を行う。詳細は以下の通り:
@ MIS 法による高齢単身世帯,有子世帯の最低生活費の推計
 H22年度は,MIS手法の取得,及び限定された個人(勤労世代の単身女性,勤労世代の単身男性,子ども) の最低生活費の推計を行った。この結果は,5月に開催される社会政策学会にて報告し,また,厚生労働省 などへも結果の提供を行う予定である。H23年度は,H22年度に得た経験を基に,これを延長し,高齢女性, 高齢男性,育児中の親の最低生活費の推計を行う。
A 災害による社会的排除の過程の研究
 本項目はH23年3月の東北関東大震災を受けて,新たに本研究に課せられたテーマである。阪神・淡路 大震災など過去の災害においては,仮設住宅における孤独死など,災害をきっかけとする社会的排除の事 例が多く報告された。今回の震災は,阪神・淡路をも上回る規模の大災害であり,特に,高齢者,病弱者, 母子世帯などの社会的弱者が社会的排除に追い込まれていく危険性が高い。このような懸念を念頭に,過 去における災害をきっかけとする社会的排除の研究をサーベイし,その特徴や過程,今回の災害対策に向 けて示唆となる点などを洗い出すメタ・レベルの分析を行う。
B 「必需品調査」の国際比較
 H22年度に取りかかり,H23年度にデータが完成する予定である「2011年社会必需品調査」(一般市民へ の郵送調査によって現代社会における必需品は何かを問う調査)と,イギリスの2010年社会的必需品調査 の比較を行い,1月に開催予定(学術振興会の助成金による)である国際会議にて英国の研究者とともに報 告する。
C 貧困統計の構築・整備
 最後に,既存の大規模データの二次利用による貧困率の推計や社会的排除指標の推計,過去の貧困が及 ぼす影響の推計などを行う。H22年度は,「21世紀出生児縦断調査」や「国民生活基礎調査」の二次利用申 請を行った。H23年度は,引き続き,公的調査による貧困率の推計などを行い,データベースの内容を充実 させる。その結果は,国立社会保障・人口問題研究所のホームページなどで公開し,貧困に関する国民の 理解を深める(予定平成24年度)。

(3) 研究組織の構成
研究代表者 阿部 彩(社会保障応用分析研究部長)
研究分担者 西村幸満(社会保障応用分析研究部第2室長),岩田正美(日本女子大学人間社会学部教授)
研究協力者 黒田有志弥(社会保障応用分析研究部研究員),
      上枝朱美(東京国際大学経済学部准教授兼客員研究員),
      山田篤裕(慶應義塾大学経済学部准教授),重川純子(埼玉大学教育学部教授),
      岩永理恵(神奈川県立保健福祉大学助教),卯月由佳(文部科学省専門職)

(4) 研究成果の公表
・ 「社会必需品調査」の結果については,2012年1月に開催予定である日英シンポジウムにて報告する予定 である。
・ その他の結果は,当該部局,学会,学術誌,報告書などにて随時公表する予定。