序 文



 平成24年7月9日総務大臣告示によって「社会保障費用統計」が初めて基幹統計指定された。
前年までの「社会保障給付費」ではILO基準を中心に公表してきたが、これからはOECD基準の
社会支出とILO基準の社会保障給付費の両方を公表する。

 本統計の基幹統計指定は平成21年3月13 日に閣議決定された「公的統計の整備に関する基本
的な計画」(以下「基本計画」という。)において方向性が示されたことによる。基本計画では、
福祉・社会保障全般を総合的に示す統計を整備する必要性が述べられるとともに、旧社会保障給付
費だけでは国際比較が十分に行えないことや、国民経済計算をはじめ、各種の国際基準に基づく統
計との整合性を向上させる必要があることなどが指摘された。

 研究所では平成9年「平成7年度社会保障給付費」の公表以来15年間毎年公表してきたが、途中
平成16年発表からは、ILO基準に加えてOECD基準の国際比較統計についても参考資料として掲載を
始めた。社会保障給付費すなわちILO基準の統計の諸外国の更新が途絶え国際比較に支障をきたす
ようになったからである。このたびOECD基準社会支出の集計を充実する形で公表することにより、
今後諸外国との比較を行う重要な指標として活用が可能となる。また、前年までは「高齢者関係給
付費」などの日本独自の費用集計と、国際基準による集計が混在していたが、今年から国際基準を
中心に掲載することとした。公表資料に掲載されない表についても、研究所ホームページで継続公
開しているのでご利用いただきたい。なお、基本計画で指摘された国民経済計算との関係を、新た
に追加した巻末参考資料で解説しているので併せてご利用いただきたい。

 少子高齢社会を迎えた我が国における社会保障の在り方について、活発な議論が行われている近
年にあって本統計が基幹統計として国民の期待に沿う役割を果たしていけるよう研究所としても鋭
意努力してまいりたい。


平成24(2012)年11月

国立社会保障・人口問題研究所
所長 西村 周三




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