第14回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 独身者調査の結果概要の取りまとめ
未婚者の結婚先延ばし意識は薄らいだが、異性との交際は低調
国立社会保障・人口問題研究所は、このほど第14回出生動向基本調査・独身者調査の結果概要を取りまとめましたので公表いたします。
出生動向基本調査は、わが国の結婚と夫婦出生力の動向ならびにその背景を定期的に調査・計量し、関連諸施策ならびに人口動向把握等に必要な基礎データを得ることを目的とした標本調査で、ほぼ5年おきに実施しています。調査は「夫婦調査」と「独身者調査」の二つで構成されてますが、本報告は平成22年6月に実施した第14回調査のうち独身者調査の結果についてのものです。集計対象は18歳以上35歳未満の未婚男女7,073人(男性3,667人、女性3,406人)です。
1 結婚意欲・結婚の利点・結婚へのハードル
- いずれは結婚しようと考える未婚者の割合は、男性86.3%(前回87.0%)、女性89.4%(同90.0%)で、依然として高い水準にある。また「理想の相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわない」という考えより、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」と考える割合(男性56.9%←前回51.9%、女性58.4%←同49.5%)が増えるなど、これまで見られてきた結婚の先延ばし意識がやや薄らいでいる。(p.2〜3)
- 「子どもがもてる」「経済的余裕がもてる」「親の期待に応えられる」など、結婚には利点があると考える女性(75.1%←前回74.0%)が増える一方で、結婚に利点を感じる男性(62.4%←前回65.7%)は減少傾向にある。結婚意欲と同様、結婚に利点を感じる割合は、非正規就業や無職の男性で顕著に低い。(p.4〜5)
- 結婚を阻んでいる要因として、結婚後に自分の生活スタイルを保てるかといった懸念や、結婚生活のための経済的準備が整わないことが挙げられている。(p.6)
2 異性との交際状況
- 異性の交際相手をもたない未婚者が男女ともに増加した(男性61.4%←前回52.2%、女性49.5%←44.7%)。一方、結婚したい交際相手をもつ割合はほとんど変化がない(男性18.4%←前回20.5%、女性27.0%←同27.3%)。(p.8)
- これまで上昇してきた未婚者の性経験率(男性60.2%←前回58.2%、女性55.3%←同52.1%)、同棲経験率(男性5.5%←前回7.9%、女性5.8%←同7.3%)はともに頭打ちとなった。(p.9)
3 希望の結婚像・ライフコース
- 自身が結婚したいと思う年齢はなお上昇傾向にあり、その平均年齢は男性30.4歳(前回30.0歳)、女性28.4歳(同28.1歳)となった。また、年齢の近い相手との結婚を望む傾向が続いており、特に男性では“年下志向”に代わり“同い年志向”が強まっている。(p.10)
- 未婚女性が理想とする“ライフコース”※は、子育て後に仕事に復帰する「再就職コース」が最も多く35.2%を占め、「両立コース」 (30.6%)、「専業主婦コース」 (19.7%)が続く。一方、実際になりそうだと思われる「予定ライフコース」では、「再就職」「専業主婦」が一貫して減少し(それぞれ36.1%←前回37.1%、9.1%←同11.7%)、代わって「両立コース」(24.7%←前回20.8%)が増加している。さらに男性がパートナーに望むライフコースでも、これと同じ変化が見られる。(p.11)
- 結婚相手に求める条件が高まる傾向にあり、特に「家事・育児の能力」は男女ともに重要度が増している。また女性では相手の「経済力」「職業」を重視する傾向が強まった。(p.12)
- 未婚者が今後持ちたいと希望する子どもの数は、男性では平均2.04人(前回2.07人)とやや低下したが、女性では2.12人(同2.10人)と微増している。男性は男児を、女性は女児をより多く希望する傾向がある。(p.13)
4 未婚者の就業・ライフスタイル・意識
- 未婚者では、1990年代に比べ、男女ともパートや派遣として働く割合や学生の割合が増加しており、正規職員の割合は大きく低下している。(p.14)
- 1990年代の未婚者に比べ、男女とも交友が減り、仕事のために私生活を犠牲にする人が増えている。ただし、女性では趣味やライフワークをもつ割合が増えた。(p.15)
- 結婚、家族、男女関係に関する未婚者の考え方のうち「離婚は避けるべき」「生涯独身でいるのはよくない」「同棲より結婚すべき」「結婚に犠牲は当然」については、2000年代に入り支持が増加し、1990年代に見られた結婚・家族離れの傾向に変化が起きている。(p.16〜17)
※ここでは「ライフコース」とは、結婚や出産をきっかけとした働き方の変化をめぐる生き方の経路を指す。
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