第14回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 夫婦調査の結果概要の取りまとめ
夫婦の最終的な出生子ども数が2人を下回る
国立社会保障・人口問題研究所は、このほど第14回出生動向基本調査・夫婦調査の結果概要を取りまとめましたので、公表します。
出生動向基本調査は、わが国の結婚と夫婦出生力の動向ならびにその背景を定期的に調査・計量し、関連諸施策ならびに人口動向把握等に必要な基礎データを得ることを目的とした標本調査です。
出生動向基本調査は夫婦調査と独身者調査の二つの調査から構成されていますが、本報告は平成22年6月に実施した第14回調査のうち夫婦調査の結果についてのものです。
結婚過程について
- 夫婦が初めて出会った時の平均年齢(夫25.6歳、妻24.3歳)は上昇しており(平成17年の前回調査から夫0.3歳、妻0.6歳上昇)、平均交際期間(4.3年)も延長しているため(前回調査から0.5年延長)、晩婚化がさらに進行している。
- 出会いのきっかけは、職場、友人やきょうだい、学校が7割を占め、結婚を決めたきっかけは、女性の結婚年齢25歳未満では「子どもができた」が半数であった。
夫婦の出生力
- 夫婦の最終的な出生子ども数の平均値(完結出生児数)が、はじめて2人を下回った(1.96人)。また、出生子ども数2人未満(子どもなし、または1人)の夫婦がはじめて2割を超えた(22.3%)。
子ども数についての考え方
- 理想子ども数(2.42人、前回調査から0.06人減少)、予定子ども数(2.07人、前回調査から0.04人減少)はいずれも緩やかな減少傾向が継続している。予定が理想を下回る夫婦における理由は、子育てや教育にお金がかかること(60.4%)や年齢上の問題(35.1%)などである。
不妊と流死産
- 約3割(31.1%)の夫婦は不妊を心配したことがあり、その半数(16.4%)が実際に不妊の検査や治療を経験している。この割合は増える傾向にある。また、流死産を経験した割合は16.1%であった。
子育ての状況
- 子どもを持った後、パート・派遣として働く妻の割合が増えている。また第1子出産前後に就業を継続した妻の割合は4割弱で推移しており、変化は見られない。ただし、就業継続者の中で育児休業制度を利用した割合は増えている。
- 第1子出産後に子育て支援制度・施設を利用した割合は約4割(41.9%)で、妻が出産後も正規雇用を継続している場合には約9割(92.3%)となる。多く利用されているのは、産前・産後休業制度(全体20.1%、正規雇用継続81.8%)、
育児休業制度(13.8%、62.4%)、認可保育所(17.5%、49.1%)などであり、いずれも利用率は増える傾向にある。
妻の意識
- 結婚、家族、男女関係などに関する妻の考え方のうち「生涯独身は望ましくない」「同棲するなら結婚すべき」「性格の不一致くらいで離婚すべきでない」「男は仕事、女は家庭」「結婚に犠牲は当然」については、
90年代に反対意見が増加したが、2000年代に入り賛成が増加を見せており、結婚や家族を支持する考え方に復調の傾向が見られる。
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