出生動向基本調査は5年ごとに実施されている全国標本調査で、夫婦調査と独身者調査からなる。ここでは第12回調査、夫婦調査の概要について報告する。
晩婚化が進行、夫妻の年齢差が縮小し、交際期間が延長
晩婚化が継続しており、とくに女性で顕著である。このため夫妻の平均的年齢差は縮小している。夫妻が最初に出会った年齢も女性でやや高まったが、結婚年齢の上昇ペースが早いため、交際期間が長くなっている(P.2〜3)。
出会ったきっかけは、職場・仕事関係が1/3、見合い結婚は7%に減少夫婦の出生力
夫妻が出会ったきっかけは、職場・仕事関係が1/3を占め、友人やきょうだいを通じた出会いが3割、学校での出会いが1割となっている。見合い結婚は減少を続けており、最近5年の結婚では7%である(P.4)。
子どもを生み終えた夫婦では、子どもの生み方に変化なし
子どもを生み終えた夫婦の子ども数は1970年代から変わっておらず、今回調べた世代の夫婦(1980年代半ばに結婚した夫婦)でも、ほとんど変化はなかった(P.5)。
出生途上の夫婦では、出生のペースが落ちている
結婚後5〜14年の出生途上の夫婦では、子どもを2人以上持つ夫婦が減り、子ども1人か子どもを持たない夫婦が増えている(P.6)。
90年代以降、夫婦出生力に変化が生じている子ども数についての考え方
妻の世代によって夫婦の出生力を比較すると、始め1990年前後に妻が20代後半〜30代前半の夫婦で低下が見られ、それは90年代半ばまで継続した。2000年前後でも30代以上で低下が続いているが、20代では低下に歯止めがかかっている。妻の生まれ年でみると、1960年代生まれの世代で夫婦出生力に低下が見られる(P.7)。
予定子ども数が減少し、理想子ども数との差がやや広がる
若い世代を中心に予定子ども数の低下が見られ、理想子ども数との差がやや広がった。子どもの性別については、女の子が多く望まれる傾向が続いている(P.8〜9)。
子どもがいると「生活が楽しく」なるけれど、「お金がかかりすぎ」て理想子ども数を実現できない
年代に関わらず8割前後の夫婦は、子どもを持つ理由を「生活が楽しく豊かになるから」としている。逆に理想子ども数を実現できない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最も多く、若い夫婦ほど多い(P.10〜11)。
不妊を心配したことのある夫婦は4組に1組、検査・治療経験13%子育ての状況
夫婦4組に1組は不妊を心配したことがあり、13%が実際に不妊の検査や治療を経験している。さらに、子どものいない夫婦では2組に1組が不妊を心配しており、その半数に当たる26%が検査・治療を経験している(P.12)。
結婚5年未満では就業しながら子育てする妻は2割以下、しかし子ども数には就業経歴による差は少ない
結婚後5年未満で就業しながら子育てする妻は2割以下で、出産前に就業を中断する妻が多い。しかし、結婚年数が長くなるほど再就業が増える。また、最終的な子ども数には妻の就業経歴による格差は少ない(P.13〜14)。
若い世代で育児休業取得者が増加、ただし勤め先による格差あり
妻が正規雇用の場合、若い世代ほど、また最近の出生ほど育児休業制度の利用率が 高い。さらに勤務先の従業員規模が大きいほど利用率が高い(P.15)。
親の育児援助があると、妻の正規就業が増え、子ども数も多い妻の結婚・家族に関する意識
夫妻の母親の育児援助があると、育児期間における妻の正規雇用就業が多い。また、出生子ども数も多くなる傾向があり、とりわけ正規雇用を継続している出生途上の夫婦で差が大きい(P.16)。
結婚という形式への支持が弱まり、男女関係についての考え方に変化が見られる
生涯独身や離婚、あるいは同棲や結婚前の性関係を容認する考えが増える傾向にあり、結婚という形式について、あるいは結婚外の男女関係についての考え方に変化が見られる(P.17〜18)。
伝統的な夫婦役割分業観は弱まり、家庭の中でも主体的な生き方を求めるようになっている
「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という考えは支持を失いつつあり、妻が家族とは別の自己目標を持つべきという考え方が支持を増やしている(P.19〜20)。
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本報告の資料『第12回出生動向基本調査 夫婦調査の結果概要』(ポイント)をPDF形式で提供しています。
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