(1) 研究目的
高齢者医療を中心に医療の効率化を進め費用対効果(value for money)を最大化することは喫緊の課題であるが,そのためには,医療保険制度だけでなく,医療等の提供体制のあり方を見直すことが必要不可欠である。本研究は,医療機関の機能分化と連携が適切に機能するための条件やプライマリ・ケアの導入など,医療提供体制に関する重要課題について,学際的・理論的な検討を行うとともに,先進地区のフィールドワーク等を通じた実証的な検討や諸外国の医療政策との比較検討を行うことにより,高齢社会における医療等の提供体制の総合化・効率化のグランドデザインを明らかにし,その実現に向けた政策達成手段を検討し政策提言を行うことを目的とする政策指向性の高い研究である。(2) 研究計画
本研究は3 年計画であり,1 年目である平成16 年度は,医療等の提供体制に係るグランドデザインを検討するとともに,主要な個別課題の検討および翌年度以降の調査の準備を行った。2 年目である平成17 年度は,引き続き実態調査を行うとともに,プライマリ・ケアや,医者と患者の関係などについて,理論的・実証的検討を行った。最終年である今年度(平成18 年度)は,個別課題の検討を深化させるとともに,3 年間の研究の再構成を行い,現実と理想(グランドデザイン)のギャップを埋める具体的な方策と政策提言についてとりまとめを行う。なお,研究方法としては,A:理論的検討(演繹法的検討)とB:実地調査等による検討(帰納法的検討)の組み合わせ,医療,経済学,法学,看護学等の学際的アプローチにより研究を行う。(3) 研究組織の構成
(4) 研究結果の公表予定
本研究の成果は,報告書としてとりまとめて厚生労働省に提出するとともに,関係団体および研究者に配布する。なお,各研究者はそれぞれの所属する学会および学術雑誌への投稿等を行うなど,積極的な成果の普及に努めるものとする。
(1) 研究目的
本研究は,先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合の実態・政策,それに伴って必要となる社会保障政策との連携に関する分析を行い,各国の実態・政策の比較検討を行うことにより,人口減少に直面するわが国における国際人口移動政策と社会保障政策の連携の可能性を検討することを目的とする。(2) 研究計画
本研究は,平成16 年度から3 年間にわたり,@先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合・社会保障制度利用(医療・労働保険,年金等)についての実態・政策に関する資料収集と分析,A先進諸国等における国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する資料収集と分析,B以上を踏まえた,わが国における国際人口移動と移動者の社会的統合・社会保障制度利用についての実態・政策,国際人口移動政策と社会保障政策との連携に関する比較分析と政策的含意導出の三者を目的として実施する。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
本研究は,我が国において「社会的排除と包摂(ソーシャル・インクルージョン)」概念を確立し,社会保障制度の企画立案に係る政策評価指標として活用する可能性を探ることを目的としている。研究では(1)諸外国の経験を資料・文献・データから複眼的に捉えて整理するとともに,(2)我が国の社会保障制度の機能を「社会的包摂」の観点から評価し,政策提言を行うものである。具体的には以下の作業を行う。欧米における既存研究を参考としながら「社会的包摂−排除」の概念を明らかにし,日本の実状に合った社会的排除の指標を作成する。また,作成された指標を基に,質問紙を設計し,大規模調査を行い,社会的排除と所得・世帯属性・個人属性・ライフヒストリーなどとの関連を分析する。
既存の大規模統計調査を用いて,社会から排除されていると思われる人々(貧困者,失業者,不安定就労者,障害者など)の状況を定量的に分析する。分析では経済状況を中心に分析するとともに,上記@で作成された社会的排除指標に沿った分析も行う。同時に,公的年金や公的医療保険,生活保護,児童扶養手当等の社会保障制度がこれらの人々に与えている効果(経済的効果だけでなくこれらの人々の主観的満足度等を含む)を計測する。
近年蓄積が進んでいる,排除されていると考えられる者(失業者・ホームレス等)を対象にした,生活史の定性調査結果を理論・実証の両面から再検討する。
(2) 研究計画
平成16・17 年度は,平成14 年『社会生活調査』を用いて社会的排除指標およびそれに関連する相対的剥奪指標を構築し,社会的排除のリスクが高いグループの分析,所得との関連等の分析を行った。さらに,欧米における既存の貧困・社会的排除に関する社会調査のサーベイとその概念の整理,『社会生活調査』の問題点を明らかにした上で,調査票を設計し,K 市を対象とする大規模調査を行った。平成18 年度は調査の詳細な分析を行い,その結果をワークショップの開催などによって公表し,学識研究者,実務担当者などとの意見交換を行う。(3) 研究組織の構成
(4) 研究結果の公表予定
本研究の成果の一部は,平成18 年度に行うワークショップにて報告される。また,『季刊社会保障研究』の特集として,とりまとめられる予定である。
(1) 研究目的
平成19 年度を目処に税制の抜本的改革が予定されている中,平成17 年度税制改正の答申にあるように,経済社会の構造変化を踏まえて税・社会保障負担のあり方を検討する必要性がある。したがって,本研究は,消費税等の税と社会保険料の転嫁・帰着,国民負担率と経済活動の関係,税と保険料の役割分担,家族政策における手当と税制の関係等に関する実証分析と制度分析を行い,これらの成果を合わせて税制と社会保障の望ましい在り方について研究することを目的とする。(2) 研究計画・実施状況
1 年目の平成17 年度は,各種統計データ・文献収集,転嫁と帰着に関する文献研究,各方面(社会保障制度,経済,財政(国家財政及び地方財政)等)の専門家からヒアリングを行うとともに,これらの成果に制度論的分析を加えた論点に基づき,計量分析を用いて制度改正を行った場合の影響分析等を行った。とくに社会保障財源として消費税を利用することについて議論が進んでいるなかで,税の転嫁と帰着に関する時系列分析の応用と,企業に対するアンケート調査を活用して,計量分析を進めた。 また,制度分析においては,消費に課税する付加価値税の税率がより高いEU 諸国の動向やOECD による財政動向分析も活用して,国際的な社会保障と税制との動きをフォローした分析を行った。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
本研究は,平成14 年度から16 年度まで3 年間実施してきた「「世代とジェンダー」の視点からみた少子高齢社会に関する国際比較研究」プロジェクトを踏まえた上で,新たにパネル調査の実施や政策効果に関する研究を行う総合的研究を企図したものである。日本を含む国際比較可能なマクロ・ミクロ両データの分析に基づいて,結婚・同棲などを含む男女のパートナー関係,子育て関係などの先進国間の共通性と日本的特徴を把握し,これによって,日本における未婚化・少子化の要因分析と政策提言に資することを目的とする。(2) 研究方法・活動計画
本研究は,個人を単位とした調査の実施・分析(ミクロ・データ)と各国の法制度改革時期や行政統計データを含むマクロ・データ・ベースの構築という,大きな2 つの柱からなる。前者のミクロ・データについてはドイツのマックスプランク人口研究所が中心となり質問検討委員会が構成され,比較可能な共通のフレームで実査を行う。後者は,フランス国立人口研究所が中心となってデータベース委員会が構成され,マクロ・データに関する基本方針が決定される。これら2 つの委員会の方針に従って,各参加国は調査実施とマクロ・データの提供を行う。さらに,ミクロ班で設定されたテーマのもと,ミクロ・データ,マクロ・データを用いて多層的な国際比較研究を行う。18 年度は,具体的に以下の活動を行う(第2 年度目)。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
政府は,2004 年に「少子化対策大綱」を閣議決定し,従来の「子育て支援」政策から「出生率上昇」政策へとより積極的に少子化問題への取り組みを始めた。こうした少子化対策については,その政策の効果を評価し,より一層効果的な施策展開の必要性が求められている。マクロ計量経済モデルによる少子化対策要因ならびに家族・労働政策要因のシミュレーション研究により,保育キャパシティ(保育需要に対する施策拡大),出産育児の機会費用(女性就業の制約改善による育児コストの低減)等の施策要因が合計特殊出生率の動向にどのような効果を及ぼすかを測定評価する。
自治体において取り組まれる少子化対策(少子化対策の行動計画)が,各自治体における他の施策や自治体の置かれている様々な環境条件との組み合わせで,具体的に自治体単位の出生率がどのように変化しているのかを分析し,自治体における少子化対策の効果を評価し,そのあり方を施策提言する。
近年,人口学・経済学・社会学等様々な研究領域において議論が展開されつつある少子化の見通しや少子化対策に対する考え方を把握し,それら専門家の少子化対策に対する評価ならびに少子化の見通しに関する意見をデルファイ(反復)調査により分析し,現在実施あるいは取り組まれようとしている少子化対策改善のための基礎資料を得る。また今後実施される将来人口推計の議論展開に寄与するための基礎資料として活用する。
本研究では,人口学・社会学,経済学などのあらゆる分野の研究成果を活用しながら,上述の3 つの研究の柱から研究を進め,より効果的な少子化対策のあり方を評価するとともに将来の出生率改善への見通しを検討するとともに,国と地方における少子化対策にかかわる厚生労働政策の推進に貢献することを目的として行う。
(2) 研究計画
ア. 少子化対策要因評価のためのマクロ計量経済モデルの開発
イ. 少子化要因を把握するための社会経済要因分析
ウ. 少子化対策にかかわる基礎資料の情報収集ならびに分析
ア. 少子化対策要因評価のためのマクロ計量経済モデルによる分析
イ. 少子化要因を把握するための社会経済要因分析
ア. 少子化対策要因評価のためのマクロ計量経済モデルによる分析
イ. 政策要因の変化にともなう効果の分析
ウ. 少子化の社会経済要因に対する施策の検証
ア. 次世代育成支援推進法にもとづく自治体行動計画を策定した地域のうち,既に自治体が独自に調査を実施している地域から,調査データの提供を受け,調査分析の実施
イ. 研究対象地域のヒアリング調査を通じた効果分析
ウ. 地域マクロデータの分析
エ. 出生率上昇地域と低下地域の差異に関する研究
オ. 少子化地域政策の効果の評価
ア. 専門家調査の設計
イ. 第1 回調査の実施と分析
ウ. 第2 回調査の実施
エ. 第1 回調査と第2 回調査の分析
ア. 調査データに基づく,少子化対策の有効性に関する分析
イ. 寿命動向等の人口学的調査項目の分析
ウ. 将来出生率等の確率分布の研究
(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
少子高齢化が進み人口減少が始まろうとする現在,社会経済施策立案に不可欠な将来推計人口の重要性はかつてない高まりを見せている。しかしながら,同時に前例のない少子化,長寿化は人口動態の見通しをきわめて困難なものとしている。本研究では,こうした中で社会的な要請に応え得る科学的な将来推計の在り方を再検討し,手法および人口の実態の把握と見通しの策定(仮定設定)の両面から推計システムを再構築することを目的とする。第1 に,人口推計手法の枠組みとして従来から最も広く用いられている1)コーホート要因法の再検討を行い,新たな手法としての2)確率推計手法,3)計量経済学的手法,4)シミュレーション技法等の有効性を検討する。第2 に人口動態率(出生率,死亡率および移動率)の将来推計に関する先端的な手法について国際的な議論を踏まえ,推計手法および将来の動向に関する理論について,従来の方法・理論との比較,有効性と限界の検証等を行う。第3 に人口状況の実態の測定と分析,出生,死亡,国際人口移動の見通し策定に関する科学的方法論について検討し,わが国ならびに諸外国の人口状況と動向の国際的,横断的把握,データ集積およびデータベース化を行い,上記において開発されたモデル,手法を適用することにより,人口動態率の今後の見通しに関する把握と提言を行う。(2) 研究計画
第1 年次においては,1)将来人口推計に関する理論,枠組み,手法等,および2)人口動態事象(出生,死亡,人口移動)に関する理論,モデル,分析手法等について先端的な研究を中心に,文献,ソフトウェア等の収集,開発を行った。第2 年次以降においては,上記1),2)において得られた知見および体系を元に,人口推計の理論,モデル,手法等のそれぞれの技術的特徴,有効性,公的推計システムへの適用可能性,その際の課題等について,試験的運用を含めた検討,分析を行う。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
2000 年代に入って東アジアの高度経済国・地域は急激な出生率低下を経験し,2004 年の合計出生率は日本が1.29,韓国が1.16,台湾が1.18 となった。このうち韓国・台湾の出生率は,ヨーロッパでも匹敵する国が稀なほど極端に低い水準である。このような低出生率の重要な決定因として,男女労働者の働き方の影響を分析する。たとえば欧米に比べ長い労働時間は,男性の家事・育児参加を阻害し,伝統的性役割意識を保存する方向に作用しているものと思われる。日本の長期不況や韓国の経済危機は,多くの若年労働者の経済的自立を挫折させ,また家計の将来に対する不安感を増幅し,結婚・出産意欲を減退させたと推測される。出産・育児休暇,家族看護休暇,フレックスタイム制度等のファミリーフレンドリー施策の導入の遅れも,東アジアの出生率低下を加速させたと考えられる。良質な保育サービス供給の不足も,妻の就業と出産・育児の両立を阻害し,やはり少子化をもたらしたと思われる。本研究は,こうした働き方に関する諸要因が東アジアの出生率低下に与えた影響を分析する。(2) 研究計画
本研究では,働き方に関する諸要因が出生率に与える影響を,文献研究および専門家インタビュー,マクロ・データ分析,マイクロ・データ分析の各段階を踏んで分析を進める。そのような分析を通じて,労働時間や勤務形態のフレキシビリティー,家庭内分業の実態,若年労働者の経済的自立度将来の見通し,企業のファミリーフレンドリー施策の導入努力,地域の保育サービス供給の量といった諸側面が,どのように結婚率・出生率に影響するかを定量的に調べることを目的とする。それぞれの側面における改善がどの程度の出生促進効果を持つかの見極めを通じて,政策の優先順位等に関わる政策提言が得られる。現在まであまりはかばかしい成果が得られていない日本の出生促進策を考える上でも,日本より急激に出生率が低下している韓国・台湾との比較研究は不可欠である。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
社会保障制度をとりまく環境は過去40 年間で大きく変化した。今日では,少子高齢化や雇用構造の変化が進む中で社会保障制度の持続可能性を高めることが緊急の課題となっている。社会保障制度の再構築に必要なのは現行制度の単なるスリム化ではなく,合理化である。現行制度に含まれる誤ったインセンティブも是正されなければならない。このため,社会保障が果たすべき機能・果たしている機能を再検討することは極めて重要な課題となっている。(2) 研究計画
本研究においては,1)ライフイベントに即した社会保障機能の評価シミュレーションモデルの作成と2)カリブレーション分析の為の数値指数の収集を同時に進める手法をとる。1 年目は研究テーマとして a)年金のシミュレーション分析,b)介護保険のホテル・コストと年金給付の関係,を取り上げる。先進諸国の年金給付算定方法からみた年金政策シミュレーションを実施して,所得再分配機能やIncome Smoothing 機能など,年金給付の果たしている各種機能を分析する。現物給付では介護給付を取り上げ,介護保険のホテル・コストと年金給付の関係を分析する。いずれも,現行制度を効率化した場合に抑制される費用を算定し,これを若年層への社会保障サービスに還元した場合の効果も考察される。すなわち,シミュレーション分析を行うに当たっては,ライフイベント毎に必要度の高い社会保障の機能が異なること,および,制度が持続的・安定的に推移することを制約条件として加える。そして,この制度の持続条件・安定条件を算出するために,関係団体に対するアンケート調査等を行う。(3) 今年度の研究課題と進め方
今年度はミクロな分析を進める。8 つの家計,すなわち夫婦(専業主婦,子あり),夫婦(専業主婦,子なし),夫婦(給与所得,子あり),夫婦(給与所得,子なし),男性(単身),男性(子有り),女性(単身),女性(子有り)を中心に,どのタイミングでどのような(広義の)社会保障ニーズが発生するかを考える。12 月までは,育児・保育,税制,企業福祉等の専門家へのヒアリング作業を行う。同時に,ベースモデルの開発にも着手する。これまでのモデル分析では,“平均” 的な家計を取り上げることが多かったが,今回は“分散” に注目した分析モデルを作成する。(4) 研究組織の構成
(1) 研究目的
本研究は,@全国データに基づくケアマネジメントの現状分析(介護保険制度改正前との比較を含む),Aパネル・データ(生活機能/介護/医療/健診に関する包括的データ)に基づく介護予防の総合的効果評価,B効果的な介護予防サービスの在り方の検証,C介護予防の実効性を高めるための地域包括支援センターの在り方の検証を通じて,今後の地域包括ケアシステムの在り方に関する提言を行うことを目的とする。(2) 研究計画
本研究は,3 年後の介護予防の見直しに向けた提言を目指しているため,研究期間を2 年としているが,この期間において以下の4 つのサブテーマに関する研究を行う。平成18 年度は,全国の認定・給付に関するデータを目的外使用申請により再集計し,認定者特性及びサービス給付に関するデータベースを構築し,制度改正以前におけるケアマネジメントとサービス効果の実態を整理する。平成19 年度は,さらに制度改正後のデータを再集計し,制度改正前後での比較検証を行う。
介護予防の総合的効果評価を行うため,平成18 年度は,ア)生活機能,イ)介護(認定/給付/介護費),ウ)老人医療(給付/医療費),エ)健診,オ)主観的健康観,カ)日常生活自立度,キ)運動機能/栄養状態/口腔機能,ク)意欲等に関する包括的パネル・データを,モデル地区(島根県松江市)にて構築する。その上で,平成19 年度に,介護予防の生活機能等に対する効果評価や老人医療費・介護費に及ぼす影響を評価する。また,高齢者特性の経時変化とサービスの関係性から,介護予防が有効な対象者像の明確化を図る。さらに,高齢者の生活機能及び健診データの分析をもとに,介護予防と生活習慣病予防の在り方を検討する。
平成18 年度は,まず,介護予防対象者の運動機能/栄養状態/口腔機能の実態を把握する。その上で,各種サービス(バランストレーニング,簡易体操,ブラッシング,嚥下体操,食形態の見直し等)を,分担研究者・研究協力者の協力を得て一定期間提供し,生活機能,QOL,運動機能/栄養状態/口腔機能,主観的健康観等に対する効果評価を行う。これらを通じて,高齢者の特性に応じた効果的な介護予防サービスの在り方を検討する。
平成18 年度は,諸外国(カナダ)の地域包括ケアシステムの実態を調査する。また,同センターの重要な役割である,病院⇔地域間の円滑な入退院支援の在り方を,ケーススタディを中心に検証する。また,マネジメント担当者と医療専門職等との連携の在り方に関する検討も行う。
(3) 研究組織の構成
平成18年度総括研究報告書PDF版全文はここから圧縮ファイル(ZIP)でダウンロードしていただけます。
(1) 研究の目的 本調査の目的は,社会福祉基礎構造改革の理念である,障害者がその障害の種類や程度,また年齢や世帯状況,地域の違いにかかわらず,個人が尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な施策へとつなぐ基礎データを得ることである。そのために,独自の調査を実施して,既存の調査では得ることの出来ない障害者の生活実態を明らかにするとともに,それを基礎データとして,障害者の自立支援にはなにが重要であるかを,総合的学際的に研究する。生活者としての障害者を明らかにするという意味は,障害者の定義を手帳保持者などの狭い範囲に限定することなく広く捉えることと,障害者の暮らしの実態に着目して,障害者を個人だけでなく世帯の一員として捉えること,そして,経済的な自立と身体的な自立を,通院やサービス利用の実態と生活時間から観察しようとするものである。このような障害者をミクロで観察する社会調査はいままで希少で,それも自治体などの地域的区分の中を無作為に調査する試みは初めてと言って過言でない。(2) 研究計画
17 年度に引き続き,調査地点を変えて障害者生活実態調査を行い,障害者の生活実態を収入・消費面と生活時間面から明らかにし,健常者との共通点と相違点を分析する。地域格差の大きい居宅支援サービスの理由と実態を解明するため,異なるサービス実態の地域を選択し,障害の種類や世帯状況の違いも考慮した調査設計を行う。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
本研究は,厚生労働省が各種の施策策定に資する科学的基礎資料を得るために実施しているパネル調査(21 世紀出生児縦断調査,成年者縦断調査,中高年者縦断調査(以下,21 世紀縦断調査))に対し,この調査が対象とする国民生活上の諸事象に関する要因や発生メカニズムの特定,施策効果の測定,ならびに行政ニーズの把握等に結びつく総合的な分析システムを構築し,年々蓄積されるデータの速やかで有効な結果公表に資するとともに,手法開発ならびに分析研究による学術的貢献を目指すものである。本来,パネル調査は,施策効果測定,行政ニーズ把握等に有効な調査形態であるが,横断調査とは異なる独自のデータ管理方法と分析法を要する。21 世紀縦断調査は,政府統計における初めてのパネル調査であり,これまで当該の行政目的に適したデータ管理,分析システムが必ずしも確立されているわけではない。これに対し申請者は平成16 〜 17 年度の本事業において,当該調査(出生児調査,成年者調査)のデータ特性分析,管理システム構築を中心とした研究開発を行い,縦断調査分析の基礎を確立した。本研究では,その成果を踏まえつつ,年々蓄積されつつある当該調査時系列データについて,定例の公表事項に加え,縦断調査データの特性を活かしたより高次で総合的な分析結果の提供を可能とするような分析システムの構築を目指す。本研究の成果として,縦断調査の利点を活かした,より質の高い結果の公表に資するとともに,調査の中心的課題に対しては,データの蓄積と共に知見が改善するよう分析を定型化・システム化することによって,結果の速やかな公表と実施主体の実務負担の軽減等が期待される。また,縦断・横断両調査の連携など新しいアプローチの開発により,学術的観点からも,方法論,分析結果の双方において国際的に価値の高い貢献が期待される。(2) 研究計画
本研究は平成18,19 年度の2 ヶ年で実施するものとし,初年度は手法の調査研究および21 世紀縦断調査における検証,分析システムの検討と開発,第2 年度はシステムの検証と確立ならびにシステムを用いたデータ分析と信頼性の検討を行う予定である。(3) 研究組織の構成