・平成15 年度社会保障給付費の推計
(1) 研究目的
本研究は,社会保障と私的保障の役割分担を明確にし,公私の役割分担を明確にした社会保障パッケージのあり方を以下の4 つの視点から考察することを目的としている。具体的な研究テーマは以下の通り。(1)公的年金の役割に関する研究,(2)企業からみた社会保障,(3)社会保障の枠組みに関する研究。(2) 研究計画
1 年目に当たる平成15 年度は,日本における企業負担の実態把握の手法について既存研究や調査統計等のサーベイを行ったうえで,企業の財務戦略と企業年金の関係,および企業年金の労働インセンティブについて考察した。また,年金の未加入問題についてパネル的データによる分析を行った。さらに,パートタイム労働者の実態把握を行い,厚生年金適用拡大の財政的影響についてシミュレーション分析を行った。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
本事業による研究成果の一部は『季刊社会保障研究』Vol. 39 No. 3,Vol. 40 No. 3,『海外社会保障研究』第153 号,および国立社会保障・人口問題研究所のディスカッションペーパーに発表した。また,本年度の研究成果として総括・分担研究報告書をとりまとめるとともに,3 年間の研究成果を総合研究報告書にとりまとめた。
(1) 研究目的
本研究は,医療機関の機能分化と連携やプライマリ・ケアの導入など医療提供体制に関する重要課題について学際的・理論的検討と実証的分析等を行い,高齢社会における医療等の提供体制の総合化・効率化のビジョン(グランドデザイン)を明らかにするとともに,その実現に向けた政策手段の検討と政策提言を行うことを目的とする。本研究の実施により,@医療行政政策への貢献,A地域医療関係者の活動指針としての活用,B医療研究への寄与が期待できる。(2) 研究計画
本研究は3 年計画であり,大きな枠組みとして,@主に平成16 年度:医療等の供給体制の構造分析とグランドデザインに関する理念的検討,A主に平成17 年度:グランドデザインと現実の乖離とその原因等に関する実証的検討,B主に平成18 年度:グランドデザインを実現するための政策手段の検討と政策提言の3 つの「柱」に沿って個別具体的な研究テーマを設定し検討を行ってきた。本年度は,平成16 年度に設定した研究枠組みを再確認した上で,それに沿って各分担研究者および研究協力者が研究を発展させる形で進めた。また,その中間成果については,第2 回研究会で報告し討論を行った。また,医療供給の問題については現地調査等が重要であるため,平成16 年度に引き続き精力的に現地調査を行った。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
本研究の成果は,平成17 年度総括・分担研究報告書としてとりまとめて厚生労働省に提出するとともに,関係団体および研究者に配布した。なお,各研究者はそれぞれの所属する学会および学術雑誌への投稿等を行い,積極的な成果の普及に努めている。
(1) 研究目的
本研究は,先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合の実態・政策,それに伴って必要となる社会保障政策との連携に関する分析を行い,各国の実態・政策の比較検討を行うことにより,人口減少に直面するわが国における国際人口移動政策と社会保障政策の連携の可能性を検討することを目的とする。(2) 研究計画
本研究は,平成16 年度から3 年間にわたり,@先進諸国等における国際人口移動と移動者の社会的統合・社会保障制度利用(医療・労働保険,年金等)についての実態・政策に関する資料収集と分析,A先進諸国等における国際人口移動政策と社会保障政策の連携に関する資料収集と分析,B以上を踏まえた,わが国における国際人口移動と移動者の社会的統合・社会保障制度利用についての実態・政策,国際人口移動政策と社会保障政策との連携に関する比較分析と政策的含意導出の三者を目的として実施する。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
本年度の研究成果は平成17 年度総括研究報告書として取りまとめた。また,研究成果の一部はThe Japanese Journal of Population,Vol. 4, No. 1(2006 年3 月刊)の特集として刊行したほか,各研究者が学会・学術雑誌等で発表した。さらに,磐田市調査報告書『磐田市外国人市民実態調査報告書2005 年』を別途,印刷製本し,磐田市を中心とする関係箇所・関係者に配布し,平成18 年度第1 四半期にポルトガル語版を作成し,調査回答者等に配布した。
(1) 研究目的
本研究は,我が国において「社会的排除と包摂(ソーシャル・インクルージョン)」概念を確立し,社会保障制度の企画立案に係る政策評価指標として活用する可能性を探ることを目的としている。研究では(1)諸外国の経験を資料・文献・データから複眼的に捉えて整理するとともに,(2)我が国の社会保障制度の機能を「社会的包摂」の観点から評価し,政策提言を行うものである。具体的には以下の作業を行う。欧米における既存研究を参考としながら「社会的包摂−排除」の概念を明らかにし,日本の実状に合った社会的排除の指標を作成する。また,作成された指標を基に,質問紙を設計し,大規模調査を行い。社会的排除と所得・世帯属性・個人属性・ライフヒストリーなどとの関連を分析する。
既存の大規模統計調査を用いて,社会から排除されていると思われる人々(貧困者,失業者,不安定就労者,障害者など)の状況を定量的に分析する。分析では経済状況を中心に分析するとともに,上記@で作成された社会的排除指標に沿った分析も行う。同時に,公的年金や公的医療保険,生活保護,児童扶養手当等の社会保障制度がこれらの人々に与えている効果(経済的効果だけでなくこれらの人々の主観的満足度等を含む)を計測する。
近年蓄積が進んでいる,排除されていると考えられる者(失業者・ホームレス等)を対象にした,生活史の定性調査結果を理論・実証の両面から再検討する。
(2) 研究計画
平成16・17 年度は,平成14 年『社会生活調査』を用いて社会的排除指標およびそれに関連する相対的剥奪指標を構築し,社会的排除のリスクが高いグループの分析,所得との関連等の分析を行った。さらに,欧米における既存の貧困・社会的排除に関する社会調査のサーベイとその概念の整理,『社会生活調査』の問題点を明らかにした上で,調査票を設計し,K 市を対象とする大規模調査を行った。平成18 年度は調査の詳細な分析を行い,その結果をワークショップの開催などによって公表し,学識研究者,実務担当者などとの意見交換を行う。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
(1) 研究目的
本研究は,「所得再分配調査」等を用いた実証分析に基づき,我が国の所得格差・資産格差の実態を明らかにし,さらにOECD 諸国等,諸外国の状況についても比較分析を行った上で,制度改革による所得再分配効果と家計ベースでみた負担と給付を視点に,持続的成長と所得・資産格差是正との調和を可能とする社会保障の在り方やその条件について考察・研究することを目的とする。(2) 研究計画・実施状況
平成16 年度は,所得格差の実態把握と再分配効果の計測,及び家計ベースでみた社会保障負担の在り方の分析を行うために,「所得再分配調査」等の使用申請を行い,再集計作業を行った。国際比較については,平成16 年度,カナダ日本社会保障政策研究円卓会議を活用した税財源による年金・医療及び家族手当・控除制度のもとでの再分配効果と我が国との比較研究を行った。また,OECD における所得格差の国際比較研究と医療・介護の実態に関する比較研究と情報交換等を行った。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
<>dl(5) 研究結果の公表
本年度の研究成果は平成17 年度総括研究報告書及び平成16・17 年度総合報告書として取りまとめた。また,研究成果の一部は,橘木俊詔編著『リスク社会を生きる』(岩波書店),清家篤・山田篤裕著『高齢者就業の経済分析』(日本経済新聞社)の中で引用活用されたほか,各研究者が学会・学術雑誌等で発表した。さらに,平成17 年度政策科学推進研究事業公開シンポジウムにおいて研究成果の概要を報告し,成果の普及に努めた。
(1) 研究目的
平成19 年度を目処に税制の抜本的改革が予定されている中,平成17 年度税制改正の答申にあるように,経済社会の構造変化を踏まえて税・社会保障負担のあり方を検討する必要性がある。したがって,本研究は,消費税等の税と社会保険料の転嫁・帰着,国民負担率と経済活動の関係,税と保険料の役割分担,家族政策における手当と税制の関係等に関する実証分析と制度分析を行い,これらの成果を合わせて税制と社会保障の望ましい在り方について研究することを目的とする。(2) 研究計画・実施状況
1 年目の平成17 年度は,各種統計データ・文献収集,転嫁と帰着に関する文献研究,各方面(社会保障制度,経済,財政(国家財政及び地方財政)等)の専門家からヒアリングを行うとともに,これらの成果に制度論的分析を加えた論点に基づき,計量分析を用いて制度改正を行った場合の影響分析等を行った。とくに社会保障財源として消費税を利用することについて議論が進んでいるなかで,税の転嫁と帰着に関する時系列分析の応用と,企業に対するアンケート調査を活用して,計量分析を進めた。 また,制度分析においては,消費に課税する付加価値税の税率がより高いEU 諸国の動向やOECD による財政動向分析も活用して,国際的な社会保障と税制との動きをフォローした分析を行った。(3) 研究会等の開催状況
(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
本年度の研究成果は平成17 年度総括研究報告書として取りまとめた。また,研究成果の一部は,国立社会保障・人口問題研究所ディスカッションペーパーとして公表したほか,各研究者が学会・学術雑誌等で発表した。
(1) 研究概要
本研究は,平成14 年度から16 年度まで3 年間実施してきた「「世代とジェンダー」の視点からみた少子高齢社会に関する国際比較研究」プロジェクトをふまえた上で,新たにパネル調査の実施や政策効果に関する研究を行う総合的研究を企図したものである。日本を含む国際比較可能なマクロ・ミクロ両データの分析に基づいて,結婚・同棲などを含む男女のパートナー関係,子育て関係などの先進国間の共通性と日本的特徴を把握し,これによって,日本における未婚化・少子化の要因分析と政策提言に資することを目的とする。(2) 研究方法・実施状況
日本では少子化の急速な進行にともない,年金や医療といった社会保障制度の根幹が揺るぎつつあり,少子化の背景を明らかにし,実効性のある少子化対策を行うことが重要な政策課題となっている。少子化は程度の差こそあれ先進諸国で共通して見られる現象であり,各国とも少子化対策を実施しており,他の先進国との比較は日本の少子化対策を考える上で有益である。また,日本をはじめとする先進諸国における少子化は家族の変化(世代関係・ジェンダー関係)と密接に関連しており,社会経済に加え家族のあり方の変化という視点からも,少子化問題を考える必要がある。(3) 研究組織の構成
(1) 研究目的
我が国の近年の出生率低下には,2 つの特徴,すなわち1)晩婚化・未婚化による出生率低下と,2)夫婦出生力低下がある。とくに夫婦の生む子ども数の減少傾向は,今後の日本人口の動向と,そのもとにおける経済・社会保障システムに極めて強い影響を及ぼすものと懸念されている。政府は,2002 年9 月に「少子化対策プラスワン」を公表し,少子化対策をより一層強化することを明らかにした。その後,2003 年に「次世代育成支援対策推進法」や「少子化社会対策基本法」が立法化され,2004 年には「少子化対策大綱」が閣議決定され,従来の「子育て支援」政策から「出生率上昇」政策へとより積極的に少子化問題への取り組みを始めてきている。一方で,こうした少子化対策については,その政策の効果を評価し,より一層効果的な施策展開を行うことが強く求められている。(2) 研究計画
本研究は,次の3 つのテーマに沿って研究を実施する。マクロ計量経済モデルによる少子化対策要因ならびに家族・労働政策要因のシミュレーション研究により,保育キャパシティ(保育需要に対する施策拡大),出産育児の機会費用(女性就業の制約改善による育児コストの低減)等の施策要因が合計特殊出生率の動向にどのような効果を及ぼすかを測定評価する。
自治体において取り組まれる少子化対策(少子化対策の行動計画)が,具体的に自治体単位の出生率にどのような変化をもたらしているのかを分析する。各自治体における少子化対策以外の施策や,自治体の置かれている様々な環境条件との組み合わせも考慮して自治体における少子化対策の効果を評価し,そのあり方について施策提言する。
近年,人口学・経済学・社会学等様々な研究領域において,少子化の見通しや少子化対策に対する考え方について議論が展開されつつある。本調査では,それら専門家の少子化対策に対する評価,ならびに少子化の見通しに関する意見をデルファイ法による調査で把握,分析し,少子化対策改善のための基礎資料を得る。また,今後実施される将来人口推計の議論展開に寄与するための基礎資料として活用する。
(3) 研究実施状況
以下に掲げる研究課題別に研究会を開催し,平成17 年度研究報告書を取りまとめた。(4) 研究組織の構成
(1) 研究目的
世界でもトップクラスの少子高齢化が進み,恒常的人口減少が始まろうとする現在のわが国において,社会経済の制度設計,施策立案に不可欠な将来推計人口の重要性はかつてない高まりを見せている。しかしながら,同時に前例のない少子化,長寿化は人口動態の見通しをきわめて困難なものとしている。本研究では,こうした中で社会的な要請に応え得る科学的な将来推計の在り方を再検討し,手法および人口の実態の把握と見通しの策定(仮定設定)の両面から推計システムを再構築することを目的とする。本事業は,公的将来推計人口策定における精度向上と説明責任の遂行に資することを一つの目的とするが,その前提となる科学的理論・手法に対する学術的,技術的検討が主眼であることから,公的推計の策定作業とは異なり,特定の組織の枠を越えた国内外の研究協力体制をつくることで関連諸分野の学術的知見の集積を行うこととする。(2) 研究計画
本研究においては,第1 に,人口推計手法の枠組みとして従来から最も広く用いられている1)コーホート要因法の再検討を行い,新たな手法としての2)確率推計手法,3)計量経済学的手法,4)シミュレーション技法等の有効性を検討した。第2 に人口動態率(出生率,死亡率および移動率)の将来推計に関する先端的な手法について国際的な議論を踏まえ,推計手法および将来の動向に関する理論について,従来の方法・理論との比較,有効性と限界の検証等を行った。第3 に人口状況の実態の測定と分析,出生,死亡,国際人口移動の見通し策定に関する科学的方法論について検討し,わが国ならびに諸外国の人口状況と動向の国際的,横断的把握,データ集積およびデータベース化を行い,上記において開発されたモデル,手法を適用することにより,人口動態率の今後の見通しに関する把握と提言を行った。以上の研究は並行して行い,主として第1 年次においては各研究分野における,文献,ソフトウェア等の収集,検討,ならびに基礎的な理論,モデル,手法等の技術的特徴,有効性,公的推計システムへの適用可能性,課題等についての検討を行い,第2 年次においては,それらのわが国への応用,実データの分析,システム開発を行い,さらに第3 年次においてはそれらソフトウェアの整備,シミュレーション分析,システムの評価等を行う。(3) 研究組織の構成
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(1) 研究の目的
本調査の目的は,社会福祉基礎構造改革の理念である,障害者がその障害の種類や程度,また年齢や世帯状況,地域の違いにかかわらず,個人が人として尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な支援はなにか,その支援を続けるためにはどのような制度が必要なのかを検討するための基礎データを得ることである。そして,得られたデータを活用し,経済学や社会学等の多分野の研究者と障害者福祉に関する学際的研究の基盤を構築したい。(2) 研究計画
障害者生活実態調査において障害者の生活実態を収入・消費面と生活時間面から明らかにし,健常者との共通点と相違点を分析する。地域格差の大きい居宅支援サービスの理由と実態を解明するため,異なるサービス実態の地域を選択し,障害の種類や世帯状況の違いも考慮した調査設計を行う。(3) 研究会等の開催状況
2 回の研究会を開催した。(4) 研究組織の構成
(5) 研究結果の公表
平成18 年3 月に平成17 年度総括・分担研究報告書を取りまとめた。また,平成18 年10 月に東京で開催される,日本社会福祉学会において,自主企画シンポジウムを予定している。各参加研究者が個人名での学会等への報告を予定している。
(1) 研究目的
本研究は,厚生労働省の実施する2 つのパネル調査(21 世紀出生児縦断調査,成年者縦断調査)における統計データの有効で実際的なマネジメント方策ならびに分析法を検討し,これを実現するシステムを開発することによって,今後継続して蓄積されて行くデータに対処し,次世代の健全育成ならびに少子化傾向をはじめとする国民生活の動態とそのメカニズムの解明に寄与し,諸施策の策定に資することを目的とする。(2) 研究計画
研究初年度において,諸外国における先行事業や分析事例の文献調査を行い,データマネジメント,分析法の検討と試験的システムの構築,ならびにデータの不詳・欠損・脱落への対処をはじめとする実態の把握と分析法の検討が行われた。2 年度目にあたる平成17 年度には,これらの研究分析を継続・発展させるとともに,最終年度であることから縦断調査に対する実用的なデータマネジメントシステムの具体的提言をまとめた。(3) 研究組織の構成