平成14年4月24日
機関評価に係る対処方針
国立社会保障・人口問題研究所
所長 阿藤 誠
平成14年4月10日付けにより、国立社会保障・人口問題研究所評価委員会委員長から提出された「評価報告書」において、当研究所の運営に関し改善が求められた諸事項に関しては、平成14年度以降において、下記の方針により対処するものとする。
記
<改善を求められた事項>
- 今後、社会保障分野においては、契約、紛争解決等に係る法的諸問題の解明が要請されることとなると考えられるほか、人口問題分野を含めて、家族・社会との関連において解明すべき諸課題が多く存在することとなることから、法学、社会学等の研究者の研究活動への参画が求められる。
<対処方針>
- これまでも、社会保障及び人口問題に関する各研究プロジェクトにおいて、学際的な研究体制を確保してきたところであるが、平成14年度以降においても、引き続き、学際的研究体制を維持することとする。特に、法学的、社会学的な視点からの解明が有益である研究プロジェクトに関しては、当該学問分野の研究者の積極的な参画に配慮するものとする。
<改善を求められた事項>
- 基礎的理論的研究によるアプローチも重要な政策研究手法であり、多くの成果が期待されることから、今後、その一層の充実が求められる。
<対処方針>
- これまでも、「社会保障改革の理念と構造」、「人口・経済・社会保障システムのダイナミックモデルに関する基礎的研究」、「厚生経済学の新パラダイムに基づく福祉国家システム像の再構築」等の理論的研究を行ってきたところであるが、平成14年度においては、新たに、「福祉国家の規範とシステムに関する総合的研究」、「社会保障負担の在り方に関する理論的・実証的研究」、「戦後日本の社会保障制度改革に関する政治社会学的研究」等理論的研究に着手するほか、各研究プロジェクトの実施においても、可能な限り、基礎的理論的研究手法の活用に配慮することとする。
<改善を求められた事項>
- 社会保障においては、今日、多くの分野において「企業」がその制度運営に関与していることから、今後、企業の社会経済的な機能との関係に着目した研究が求められる。
<対処方針>
- これまでも、「産業としての社会保障に関する研究」等を行ってきたところであるが、今後とも、社会保障に関する研究プロジェクトにおいて、企業の社会経済的機能との関係についても各研究者が十分に問題意識をもって取り組むこととする。
<改善を求められた事項>
- 人口問題研究においては、少子化の要因の解明等において未婚化の問題が重視されているが、今後、離婚の人口への影響に関する研究が求められる。
<対処方針>
- 離婚の世帯構造への影響に関しては、今回の「世帯推計」においても、「ひとり親と子から成る世帯」の推計を行うとともに、今後とも、離婚の動向について継続的にモニタリングを行うこととする。
また、離婚の出生率動向への影響に関しては、これまでも、配偶関係別多相生命表等に係るライフサイクル研究を実施してきたところであるが、今後とも、離婚の出生率動向への影響の解明に向けて一層の研究の強化を図ることとする。
<改善を求められた事項>
- 今後、労働力人口の減少に伴い、外国人の受入れに係る議論が予想されることから、アジアからの外国人の社会的統合等に係る研究の実施が求められる。
<対処方針>
- これまでも「国際移動者の社会的統合に関する研究」において、外国人と日本人国際移動者との社会的統合に関し理論研究を中心とした取組みを行ってきたところであるが、今後とも、内外の文献調査等の理論研究を中心として外国人の社会的統合に関する研究の深化を図っていくこととする。
<改善を求められた事項>
- 社会保障研究及び人口問題研究の実施に必要な基本的な組織的枠組みは確保されているものと考えるが、近時における社会保障及び人口問題に関する政策研究の量的拡大や質的な高度化に適切に対応していくためには、必要な人員の確保に向けた取組みが不可欠であり、具体的には、併任ポストの専任化等が求められる。
<対処方針>
- 平成12年度から14年度において毎年定員増を図ってきたところであるが、今後とも、併任ポストの専任化等を含め、必要な人員確保について要求していくこととする。
<改善を求められた事項>
- 今後とも、社会保障及び人口問題に関する研究の効率化を図るための関係情報の一層のデータベース化が求められる。
<対処方針>
- これまでも、各種統計情報、政策情報、文献情報等の体系的な収集・整理及びデータベース化を図ってきたところであるが、今後とも、関係情報の収集等とともに、既存データベースの質的及び量的充実を図ることとするとともに、内外の研究機関等との連携を強化し、情報交換の促進を図っていくこととする。
<改善を求められた事項>
- 研究者のみならず一般の国民が社会保障及び人口問題に関する理解を容易にできる標準的な資料を作成し、公表することが求められる。
<対処方針>
- これまでも「人口統計資料集」、「社会保障費統計資料集」、「Social Security In Japan」等の作成、公表を行ってきたところであるが、平成14年度からは、更に社会保障に関する各種統計資料を網羅した「社会保障統計年報」を編集するとともに、引き続き、機関誌の発行、研究所ホームページの活用、厚生政策セミナーの開催(14年11月22日)、社会保障基礎講座(14年10月1日から4日)及び人口問題基礎講座(14年10月23日から25日)への積極的な支援等によって、情報の公開を図っていくこととする。
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