国立社会保障・人口問題研究所では、平成18年12月に平成17年の国勢調査をふまえた「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」を発表した。この度、この新しい全国人口推計に基づいて新たに都道府県別人口の将来推計を行った。推計方法ならびに推計結果の概要は以下の通りである。
推計方法は前回同様、コーホート要因法を用いた。この方法は、ある年の男女・年齢別人口を基準として、ここに人口動態率や移動率などの仮定値を当てはめて将来人口を計算する方法であり、2005年までの実績値をもとにして推計を行った。推計期間は平成17(2005)〜平成47(2035)年まで5年ごとの30年間である。
2005年の国勢調査によれば、2000年から2005年にかけて既に32道県で人口が減少している。今回の推計によれば、人口が減少する都道府県は今後も増加を続け、2010年から2015年にかけては42道府県、2020年から2025年にかけては沖縄県を除く46都道府県、2025年以降はすべての都道府県で人口が減少する。また、2035年時点で2005年と比べ人口が増加しているのは、東京都と沖縄県のみである。
地域ブロック別にみると、2005年に全国人口に占める割合が最も大きかったのは南関東ブロック(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)で、27.0%であった。全国人口に占める南関東ブロックのシェアは今後も緩やかに上昇を続け、2035年には29.8%に達する。一方でその他の地域ブロックの占める割合は横ばいないしは減少となる。特に東京都の人口シェアは2005年の9.8%が2035年には11.5%に達し、都道府県別のシェアの増加幅が最も大きい。
年少人口(0〜14歳人口)は2005年から2035年までの期間を通じてすべての都道府県で減少し、各都道府県の総人口に占める割合(年少人口割合)も、2005年から2035年までの期間を通じてすべての都道府県で低下する。
生産年齢人口(15〜64歳人口)は、各都道府県とも減少傾向にあり、各都道府県の総人口に占める割合(生産年齢人口割合)も、各都道府県とも減少傾向にある。
老年人口(65歳以上人口)は2020年まで全都道府県で増加する。しかし老年人口の増加率はおおむね縮小傾向にあり、2020年以降は老年人口の減少県が現れる。2020年から2025年にかけては14府県で老年人口が減少し、2025年から2030年にかけては老年人口減少県は31道府県に増加するが、2030年から2035年にかけては老年人口減少県が29道県となる。2035年の段階で老年人口数が多いのは、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県など大都市圏に属する都府県である。また増加率でみると、2005年から2035年にかけて老年人口が75%以上の増加になるのは埼玉県、千葉県、神奈川県、沖縄県であり、そのほか東京都、愛知県、滋賀県については50%以上の増加となる。
老年人口が総人口に占める割合は、各都道府県とも今後一貫して増加する。老年人口割合が30%を超える都道府県は2005年時点では1つもないが、2020年には31道県で30%を超える。そして2035年には44都道府県で老年人口割合が30%を超える。
後期老年人口(75歳以上人口)は2030年まで全都道府県で増加する。しかし後期老年人口の増加率はおおむね縮小傾向にあり、2030年以降は後期老年人口の減少県が現れる。2030年から2035年にかけては35都道府県で後期老年人口が減少する。2035年の段階で後期老年人口数が多いのは、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県など大都市圏に属する都府県である。また増加率でみると、2005年から2035年にかけて後期老年人口が150%以上の増加になるのは埼玉県、千葉県、神奈川県であり、そのほか茨城県、東京都、愛知県、滋賀県、大阪府、沖縄県については100%以上の増加となる。
後期老年人口が総人口に占める割合は、各都道府県とも今後ほぼ一貫して増加する。後期老年人口割合が20%を超える都道府県は2020年までは1つもないが、2035年には39道県で20%を超える。