T 社会保障給付費の範囲


1.社会保障給付費の範囲は、ILO(国際労働機関)が国際比較上定めた社会保障の基準に基づいて決定されている。
 ILOでは、社会保障の基準を次のように定めている。すなわち、以下の3基準を満たすすべての制度を社会保障制度と定義する。

  1. 制度の目的が、次のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するものであること。
    (1)高齢 (2)遺族 (3)障害 (4)労働災害 (5)保健医療 (6)家族 (7)失業 (8)住宅 (9)生活保護その他
  2. 制度が法律によって定められ、それによって特定の権利が付与され、あるいは公的、準公的、若しくは独立の機関によって責任が課せられるものであること。
  3. 制度が法律によって定められた公的、準公的、若しくは独立の機関によって管理されていること。あるいは法的に定められた責務の実行を委任された民間の機関であること。特に、労働災害補償の制度については、民間機関により実行されていることがあるが、対象の中に含めるべきである。

 上記の基準に従えば、社会保障制度として、社会保険制度(雇用保険や労働者災害補償保険を含む)、家族手当制度、公務員に対する特別制度、公衆衛生サービス、公的扶助、社会福祉制度、戦争犠牲者に対する給付などが含まれる。
 社会保障給付費は、上記のILO基準に従い、国内の社会保障各制度の給付費について、毎年度の決算等をもとに推計したものである。
 ILOは1949年以来19回の社会保障費用調査を実施し、各国から提供された社会保障費データを、“The Cost of Social Security”としてインターネットのホームページで公開している。
(ILO該当URLはhttp://www.ilo.org/public/english/protection/socsec/publ/css/cssindex.htm

2.社会保障給付費の「医療」「年金」「福祉その他」部門別分類は、次のとおりである。
 「医療」には、医療保険、老人保健の医療給付、生活保護の医療扶助、労災保険の医療給付、結核、精神その他の公費負担医療、保健所等が行う公衆衛生サービスに係る費用等が含まれる。
 「年金」には、厚生年金、国民年金等の公的年金、恩給及び労災保険の年金給付等が含まれる。
 「福祉その他」には、社会福祉サービスや介護対策に係る費用、生活保護の医療扶助以外の各種扶助、児童手当等の各種手当、医療保険の傷病手当金、労災保険の休業補償給付、雇用保険の失業給付が含まれる。なお、再掲した介護対策には、介護保険給付と生活保護の介護扶助、原爆被爆者介護保険法一部負担金及び介護休業給付が含まれる。

3.社会保障給付費の機能別分類は、上記社会保障給付費の範囲1.@におけるリスクやニーズごとに給付費を集計したものである。


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